愛媛FCvsファジアーノ岡山 レビュー 【2-2】
スタメン
3連戦の最終戦は近隣アウェイの愛媛戦。ひさしぶりの愛媛遠征ということで、岡山から1600人を超えるファジサポが集いまさにホームジャック!という雰囲気を作っていましたね。
試合後に愛媛FCの前野選手が愛媛のゴール裏にメッセージを送ったことが大きな話題になっていましたね。結構選手の方から働きかけるというのは珍しいことだと思います。試合後それが話題になっていたということで、前野選手本人が愛媛の公式YouTubeで話をしていたのであわせて紹介しておきたいと思います。
石丸監督率いる愛媛は4231、岡山は変わらずの3421。しかしながら、岡山の選手のやりくりは見るからにキツイなという印象が否めない。このあたりは別の機会で詳細を述べたいと思いますが、正直いっぱいいっぱいというところではないでしょうかね。
ゲームの流れ
すべりだしの岡山はまずまず悪くない入りだったように思います。攻撃の考え方としては右サイドを中心に攻めますよ、と。というのも愛媛は左SBの前野をこちらの右WB柳(貴)にぶつけてくるのでSB裏にスペースができる。そこに木村太哉を走らせる。あるいは、リターンをもらって柳(貴)が前を向く。そして崩しに入っていこうという狙いを感じました。実際に、6分には柳(貴)のスルーパスがグレイソンに、というシーンを演出したように悪くはない。しかし、どうしても最後の意図が合わずにチャンスになり切らない。このあたりはずっとジレンマを抱えている印象ですね。あるいは、グレイソン・太田龍之介にハイボールをぶつけてこぼれ球勝負をしていく構えも見せていましたが、これもそんなに悪くはない。まあ、愛媛もセカンドボールへの執着心は強いのでなかなかいい形にはなりませんでしたけども。
一方の愛媛はカウンターに鋭さを持つチームと見受けました。岡山の攻撃を受け止めて、ボールを奪った次のワンプレーで前にボールを運んでくる。その落としに連動してなだれ込むように殺到していく。こうしたプレーの練度は非常に高いものを感じました。
そうした良さがいかんなく発揮されたのは10分の愛媛の先制シーン。きっかけは田上から田部井?へ付けたタテパスが通らず相手のボランチ谷本へ、というシーンでした。うーん・・・このへんもちょっとね。田上→田部井でミスになるのは藤枝戦でもありましたよね?ギクシャク感が否めない。ただ、ここでの谷本のタテパスは素晴らしいですよ。いい選手だ、とは聞いていましたがなるほど、と。岡山としては松田にライン間で前を向かれ、なんとか聞き足とは逆に持ち替えさせたんですが、逆足でミドルをキレイに流し込まれてしまうと。可能性を下げる努力はしましたが、ここは役者の力が高かったな、と。味わい深い失点シーンでした。
悪くない入りをしていたのに、ミスで相手に先制をを許し追いかけざるを得ない展開にしてしまう。このあたりはいかにも歯車がかみ合ってないチームっぽい挙動となっており大変苦しいですが、まあ現状やむを得ない。16分もやはり谷本のタテパスから岡山の前プレをキレイにはがして疑似カウンターに入っていくというシーンがあり難しいなあと。
愛媛の特徴としてはJ3あるあるですけど、やっぱりかなり密集してくるという点も見逃せないかなと。特に中盤やサイドでは密集を作ってセカンド争いに厚みを持たせてくる。なので、岡山が一発目に競り勝ってもセカンドで自由がないというシーンが結構多い印象でした。
失点後は岡山がボールを握って押し込む展開が続きました。クロスもいくつか上がっているんですけど、どうしてもニアで引っかかるシーンが多くて決定機とまでは行かない感じでしたね。あと、ちょっと動き出しが少ないかなと。このあたりはグレイソン・太田・木村という組み合わせの難しさかもしれない。
後半岡山は木村太哉に代えてシャビエルを投入。シャビエルはシャドーというよりも、少し低めまで下りてきてボールを触る機会が多かったですね。そして、太田龍之介に代えて齋藤恵太を入れて2トップ気味に。愛媛は4枚で守るというよりは、もうSHを下げてしまって532のような形でセット。カウンターの受け手としてトップ下の石浦、フィニッシャーとして松田を残す。このような構えだったかなと思います。
リードを奪われると攻めないといけなくなる。この力を使って後半の愛媛は再三カウンターのチャンスを作っていましたね。カウンターに入る意識、準備、コンビネーションがやっぱりちょっとレベルが違うなと。59分からのカウンターは決定機でした。ちゃんと人が押し上げて来るので、こぼれ球を前で拾えるし、前に流し込んで前に走り込む。岡山はずっと戻りながらの守備と。リードを奪うってこういうことですよ。岡山の攻撃の得点可能性が引くければ、攻めさせたらいいんです。その分ボールをとったら豊富にカウンターに出られるので。そういう意味では横浜FC戦につづいて0-3とかで大敗するケースも十分あり得たかもな、と思います。
田上、田部井に代えて吉尾、仙波を投入。右CBに柳(貴)を置いて、仙波をボランチに。左のWBに吉尾を置くと。そして本山を左CBに。67分にCKから折り返した本山のキックが相手に当たってオウンゴールで同点と。20分間ほとんど有効な攻撃ができずにもがいていたので、この同点弾はとてもラッキーでした。ところが、この直後のFKで横浜戦でさんざんやられたFKとほとんど同じような形で失点と。2試合でセットプレーから4失点。苦しいね。
さらにその直後のシーン、タッチライン際で吉尾を後ろから削ったパク・ゴヌが一発レッドで退場と。もうなんか、大変な試合だな・・・!吉尾はルカオと交代しましたが、ここで怪我となるとちょっと厳しいな・・・。せっかくプレータイムが伸びてきつつあり、戦力になってきていたタイミングでしし。大きなケガじゃないことを祈るばかりです。
75分過ぎからは一方的に岡山がボールを持ち、愛媛を押し込んでいく展開。クロス、FKも数を重ねますがなかなか中と合わず。ATにショートコーナーから仙波大志のキックに齋藤恵太がヘッドで合わせて同点。なんとか追いつくことができました。その後も押せ押せでしたが、96分、クロスをはじきかえしたセカンドボールが愛媛にこぼれ、絶好のカウンターチャンスに。ここもやっぱり愛媛の奪ったらまずカウンターの意識、なんですよね。
ところが、ここは本山遥の独壇場でした。完全に抜け出したベン・ダンカンを斜め後ろから追走してショルダーチャージ。しかも、ボックスに入る前で補足しています。体勢を崩させ、スライディングでシュートをブロックと。もう完璧にチームを救うプレーでした。どうだ、これが本山遥だ!ってシーンでしたね。相変わらずこういうプレーさせるとほんとすごいよ遥は。ゲームはそのまま2-2で終了、ということになりました。
3連戦は0勝1敗2分に
前節が今季初黒星だったし、絶対に勝ちたい横浜FC戦だったので正直気持ち的にかなり重たいところでした。もちろん連敗を回避して、良くない流れを断ち切ってほしいという願いを込めた試合でしたが、最後なんとか追いついてドローと。これで3連戦では勝点2に留まることになりました。
しかし、連敗をしなかったこと。そして9試合で勝点18まで到達できたことは非常によかったと思います。現状は、これが精いっぱいだろうなあというのが冷静に試合を見直しての感想かなぁというところで。トップフォームからすると7割くらいの力しか出し切れていないような印象のゲームでした。なので、今季この3連戦くらいのゲームを調子の底としてこれ以上に悪くならないように戦っていく必要があるだろうなと思います。
首位から3位に後退したということで、「どうなん?」ってなるところですが長い目で見ると「そんなこともあったね」ってたぶんなると思う。自分としてはあんまり心配はしていません。とにかくしっかり休んで、じっくり課題をクリアしていけば普通にこのチームは勝つよ。たぶん。
J2リーグは38試合あるので、4分割すると9・10・9・10と4つのクオーターに分けることができます。ちょうどこの愛媛戦が最初の4分の1のおしまいのゲームということで、ここでこれまでの9試合を振り返りつつ、今後の展望なんかをYouTubeライブでやろうと思います!
4月11日22時からだいたいこんな感じのことをしゃべろうかなと思います!
・9試合を振り返って
・今年の木山ファジの印象
・ちょっと調子落ちてない?って心配な件について
・今後の展望について
こんな風にサッカーを言葉にできるとすごく楽しくなってきます。そのために必要なベーシックな知識を、YouTubeのメンバーシップでやっているサッカー観戦入門講座『やわらかフットボール』でお伝えしています。
今年の第2期は、5月9日から開講しますので興味のある方のご参加をお待ちしております。以下に、講座の概要と第1期の初回無料ライブの動画を貼り付けておきますので、ぜひチェックしてみてください!
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