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レンタル"ただいる人"にお仕事ください

「レンタルなんもしない人」って、ご存知でしょうか?

レンタルなんもしない人(レンタルなんもしないひと)とは、「なんもしない」サービスを提供する個人(森本祥司)のTwitterアカウント名。 著作物では個人名としても使用される。(中略)ゲームの人数合わせ、花見の場所とりなど、「ただ居るだけで(ごく簡単な受け答え以外は)なんもしない」依頼をTwitterで募集している。

wikipediaより(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%81%AA%E3%82%93%E3%82%82%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E4%BA%BA

そこからインスパイヤされて、ほぼパクリですが、こんなサービスを期間限定???ではじめてみようと思った。

何故、やるのか?

原体験 〜「ただいる」ことにお金が払われる〜

僕は、数年前からある企業さんで組織開発やリーダーシップ開発の支援をしていました。そちらの企業の代表の方から、ある時ちょっと変わった依頼がありました。

年度の変わり目を機に、ある営業部署の責任者が代わることになった。

依頼内容は、その部署の毎週の定例会とその部署の新しい責任者と社員との毎月の1on1面談に同席して欲しい。

特に、何かを「する」ことは依頼されず、ただ「いて」欲しい…と。

それだけのために、毎月12時間程度の時間拘束、時給換算で数万円/時間。

期間中、ある意味、これまでで最も辛い仕事だった。ただ「いる」だけ。何かの価値を発揮しているとも思えない。なのにも関わらず、毎月数十万円のお金が支払われる。詐欺罪で捕まるのでは?と、罪悪感に苛まれる。もっと価値を提供するために、責任者の方に、色んな提案をした。

「こんな対話会をやってみてはどうか?」
「こんな研修をやってみてはどうか?」

どれも空振る。その責任者の方の課題意識やニーズを聴いても、特に出てこない。あくる日もあくる日も、自分なりに色々組織分析して、社員がもっとパフォーマンスを出せるような企画を考えては、提案して、ボツになるという繰り返し。

結局、毎週毎週、ただ月曜日の定例会に参加して、月1回の1on1ミーティングに同席するだけ。もちろん会議の設計もしなければ、ファシリテーションはしない。気になることがある時は、質問したりすることもあるが、98%は、ビデオオフ&ミュート。

8ヶ月間の時が過ぎた頃、依頼者である代表の方に、「これまで本当にありがとうございました。おかげさまで、新しい部署が無事立ち上がりました。」と言われ、契約は終了しました。

どこか馬鹿にされている気もした。その会社では、それまで対話セッションやコーチングなどで何度も支援してきた。必ずしも全てが望んでいた成果を出せたとは言えない。でも、ずっと見てくれていたはずだったその代表が、「何もしなくてもいいから、ただいてくれ」というオーダーは、自分が持つ知識・視点・能力・スキル・発言・行動を軽視・過小評価、もしくはただ単純に「つかえねぇ」と判断していると、解釈できてしまう。ある種の侮辱感も感じ、落ち込んだ。

しかし、今になって思う。

その代表の方は、誰よりも、私のことをしっかり見ていて、評価してくれていたのではないか?と。私の知識・視点・スキル・能力・発言・行動ではなく、私の存在そのものやそこから醸し出す空気を。そしてその存在とそこから醸し出す空気が新組織において大事だと考え、「ただいる」ことをオーダーしたのではないか?と。

doingとbeingとは?

doingとbeingという概念がある。
※私は、理解しているつもりだが、肌感ではまだ良く掴みきれていないので、以下、解説はあくまで僕の現時点の解釈である

doingとは、行いや行動のことである。
テレアポをしたり、会議の設計をしたり、プログラミングしたり、ファシリテーションしたり、発言したり、「行動として見える」ものは、すべてdoingである。

beingは、あり方や存在のことである。
その人が持ち込んでいる意図、そしてそこから醸し出される雰囲気や空気感、そういった目に見えないけど「感覚的に周囲に与えている目に見えないけど肌で感じるインパクト」が、beingである。哲学みたいなものも含まれるかもしれない。

代表の方は、私が何ができるか?(doing)ではなく、私が持っているありのままの存在そのものやそこから醸し出される空気(being)をしっかり見ていて、その時の組織改編において、そのbeingそのものが必要なインパクトを与えてくれると、判断したのではないか?と思うようになった。

「doingの価値」偏重型の苦しい現代社会

「あなたの市場価値は?」
「市場価値をあげないと、いずれ職を失うよ」
「あなたは何ができるの?」
「あなたは何をしてくれるの?」
「収入上げるためにはもっとスキルアップ」

現代社会では、こんな考え方が当たり前になっているように思う。そして、みんな躍起になって、MBAに通ったり、人脈を広げたり、本を読んだり、知識やスキル習得に必死である。いわば、doingの向上に必死である。少なくとも、僕はその一人だ。

これ自体を否定するつもりはない。僕自身もそうだし、今でも知識やスキルアップはしている。会議設計をする。ファシリテーションをする。プログラム開発する。コーチング技術を学んで、実践できるようになる。資格を取る。これで成長して、社会が良くなったり、会社が良くなったり、部署が元気になったり、嫁が笑ってくれたり、子供を食わせたりできる。そのおかげで、今の僕がある。「そこそこの生活」もできている。

ただ、気になるのは、そのメッセージが強すぎるあまりに、その考え方の裏側にはセットで、「何も知らない人、何もできない人、行動しない人には、価値がない」というような、とても危険な無自覚のメッセージや信念を、我々の無意識に刷り込んでいるようにも思う。結果、doingばかりに光があたり、being(すなわち、その人の存在そのもの)はないがしろにされてはいないだろうか?

何もdoingできない人には価値がない。だからdoing向上に必死。

極端な言い方すれば、あなたは何を知っていて、どんな人脈を持っていて、何ができて、過去にどんな成果を出してきたのか?…それだけでしかあなたの価値を問うすべがない。あなたの存在そのものなんて、どうでもいい。

存在そのもの(=being)には、価値がないのだろうか?

世間で言う勝ち組の人の多くも、そのdoingの評判が良いからであって、beingそのものには焦点があたっていないのではないだろうか?doingの向上を止めたり、持っている知識やスキルが古臭くなった瞬間、周囲から見切られたりしたら、転落の人生が始まる。だから、ずっとdoingの向上に務める。そのラットレースから降りることが怖くて仕方がないから。

そんな社会に我々は住みたいのだろうか?

逆に、doingだけでなく、beingそのものにも光をあて、認知して評価し合える社会だとしたら、もう少し生きやすくなるのではないか?「いつも、いてくれてありがとう!ホント、君がいてくれるだけで、僕は幸せだよ。」といえる社会。

そんな社会を創り出すには、私自身の考え方を変えることからしか始まらないのではないか?

現代社会がdoingに価値を置くから、生活をしていくためには、自分もそこに準じるしかない…という見方もある。しかし、その現代社会の一部を作っているのは、紛れもなく私自身だ。思い返せば、私自身が私自身の価値をdoingでしか認めていない。私が、ただ存在しているだけで良いのである!とは、とてもじゃないが言い切れない。

Beingが人に与えるインパクトの例1
「こんな夜更けにバナナかよ」(松竹)という映画。幼い頃から難病の筋ジストロフィーを患い、34歳になった時には、動かせるのは首と手だけという、鹿野靖明氏のボランティアの方々との生活を描いた実話。

Beingが人に与えるインパクトの例2
10年前くらいに読んだ記事。認知症の老人をケアする介護施設に、どうしようもなく何もできない犬がやってくる。やがて、ある認知症のおばあちゃんがその犬のお世話をするようになった。

で、そんなdoing重視の生き方から少し距離をおいて、beingに光をあてて、その使い方を検証してみたくなった。だから、「レンタル”ただいる人”」をやってみたいと思った。

私のbeingの探求

「ちょっと危険な感じの人」らしい

じゃあ、私にはどんなbeingがあるのか?どんな雰囲気が漂っていて、周囲にどんなインパクトを与えているのだろうか?

実は、僕はよくわかっていない。大いにして、自分ではわからないものである。そして、意外と本人以外の人が知っている。(言語化できているかどうかは別として)

とても勘の良い、カミさんからはいつも「インテリヤクザ風」と言われる。高校時代の後輩からは、「恐い」と言われていた。CTI Japanのリーダーシップ・プログラムの卒業生の方々からは、「デンジャー」と「エキセントリック」と「セックス」のハイブリッドだと言われる。(私は受けたことないから、よくしらんけど)

CTI Japanのリーダーシップ・プログラムで言われている、人が素の状態でいる時に与えるインパクトは、7種類あると言われている。(https://ameblo.jp/sasacoaching/entry-12088266425.html)
※なお、これらはbeingと同義ではなく、これらの複合によってその人オリジナルのbeingが形成されるのだろうと、私は勝手に解釈している

デンジャー
静けさ、鋭さがあり、一緒にいると居心地が悪くなるが、言いにくいことをズバッと言われそうなインパクトを与える。

セックス
熱さがあり、身体感覚に対する意識が向上するようなインパクトを与える。

③ビューティ
冷たさ、優雅さ、尊厳、神聖的であり、思わず引き込まれる

④チャーム
温かさやつながりを感じ、聞き辛いことでも、聞いてしまう雰囲気

⑤ユーモア
いるだけで、その部屋が明るく、楽しく、陽気な雰囲気になる

⑥エキセントリック
風変わりな感じで、次どんな奇妙なことが起きるのか?とハラハラする。

⑦インテリジェンス
明快さ、有能さを感じ、難しい問題でもなんとかなりそうというインパクトを与える

余談1:
この概念を感じてみたいのであれば、3〜5歳くらいの子供を見て、その子からあなた自身が「どんなインパクトを受けるか?」を感じてみると良い。子供は、社会に適合したdoingをしないので、beingレベルでのインパクトを感じやすい。なお、個人的な体験としては、自分の子供に対しては、色眼鏡がかかるので、他人の子供の方がわかりやすい。

余談2:
自分自身で、自分自身のタイプを当てようとすると、ほぼ大外しする。私は、最初自分は「インテリジェンス」だと思っていた。それは、自分はそうでなければならないという思い込みが、そうさせているように思う。

私といると、「何か、突然明後日の方向から、核心を突かれるような緊張感があり、ハラハラ居心地悪さ」(いい意味でも、悪い意味でも)でも感じるのだろうか?

おおよそこんな感じなんだろう…と、受け止め、じゃあ存在そのものが醸し出す空気感は、一体社会にどう役に立つのか?というのが、今の私の好奇心が向くところだ。

「私の知らない、私の使い方」の探求

これまで、自分だと思っていた自分の使い方を探求してきた。

でも、ジョハリの窓のとおり、人には…

  1. 自分が知っていて、周りが知っている自分(開放の窓)

  2. 自分が知っていて、周りが知らない自分(秘密の窓)

  3. 自分が知らないけど、周りが知っている自分(盲目の窓)

  4. 自分も周りも知らない自分(未知の窓)

…という4つの側面が存在している。

そして、最終的には④を明らかにしていくと、自分の本当の使い方を知れる境地にたどり着くそうなんだが、そのためには…

  • 「秘密の窓」を、自己開示していく

  • 「盲目の窓」の理解を深めていく

…ことが大事であると言われている。

「秘密の窓」は、私が自己開示すれば良い。

しかし「盲目の窓」は、周囲からの提案を受け入れていくことが大事なのではないかと考えた。

だからこそ…

「私が知らなくて、みなさんが知っている、私のBeingの使い方を試してみませんか?」

…と聞いてみたい。

それが、「レンタル”ただいる人”」をはじめようと思った意図だ。

やってみると何が起きたか?

先日、Facebookで「僕の使い方、募集中」という投稿をしたところ、2つほど依頼があった。

  1. うちの小6の息子と話してみませんか?

  2. 開催予定の読書会の運営者として関わってみませんか?

…というものだ。

何故、そんな仕事をオファーしたのか?何を期待しているのか?を聞いてみた。

1に関しては、「なんかわからないけど…未知だけど…なんとなく楽しそう」と言われた。
2に関しても、「いや、よくわからない。なんか直感的にいてもらった方が良いと思った。”ただいる”だけでいい。」と言われた。

まあ、そんなもんだろう。そんなもんで良い気がする。直感が大事。
いずれもまだ実施に至ってはいない。実施してみてから、何が起きたのかをフィードバック受けてみたい。

お引き受けする依頼と価格

正直いうと、まだよくわからない。今考えている使い方としては…

  • 研修・勉強会・セミナー・ワークショップに受講生として、ただいる

  • 研修・勉強会・セミナー・ワークショップに運営者として、ただいる

  • 打ち合わせやミーティングに、ただいる

  • あなたが話す場に、ただいる

…など、何かをdoingする依頼ではなく、限りなく「ただいる」に近い状態のお仕事をお引き受けしたいです。(必要があれば、話したり、意見をいったり、感想を述べたりはできます。)

どんなオモローな僕のbeingの使い方があるのかを、ぜひぜひ教えて欲しい。

料金は、ひとまず無料でもお引き受けします。
なお、宿泊費・交通費などが発生する場合は、現金請求したいです。

どんな仕事がくるか、ちょっとドキドキしますが、ちょっと楽しみ。


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