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入院治療が必要です~事務指定講習備忘録(36回目 休業補償編)

こんにちは、士業開業準備中のZoroと申します。本日は労災の休業補償申請に関する手続きの続きをご紹介します。


従業員のTさんは労災で大けがをしてしまい、無事手術は成功したものの、入院治療が必要となりました。この間働くことができないので、休業補償の請求をします。

休業補償給付支給請求書

休業がどれだけ長引くのかわかりませんので、今回は初めての申請(2週間分)となります。
そこで、申請書内の回数は「第1回」、口座欄には「新規」としなければなりません。

回数を記入し忘れそうですね

あとは、最下部の記載、特に監督署名はうっかり記入し忘れてしまいそうになりました。

見落とし注意

この申請書には裏面があり、「災害の原因、発生状況」を書かなければなりません。長文の場合は大変ですね。
また、平均賃金(算定内訳別紙のとおり)を記入する欄があります。
ここには、別紙の「平均賃金算定内訳」で算出した平均賃金を記載します。

別紙の計算金額を記入

それでは、平均賃金算定内訳をみてみましょう。

平均賃金算定内訳

ここは、社労士試験で学んだ知識が活躍します。
平均賃金の計算は、「算定すべき事由の発生した日以前の3か月間に支払われた賃金総額」を「算定すべき事由の発生した日以前の3か月間の総日数」で割った金額です。
事務指定講習では、賃金総額に含まれない賃金や控除される期間といった複雑な設定は無くシンプルな出題ですので難易度は高くありません。

①賃金計算期間について
今回の事例会社は賃金締日が末日、労災発生が9月中旬ですので、8月末日が起算日として3か月間(賃金計算期間)を計算します。

賃金締日に注意

②賃金区分(AとB)について
この内訳書では、賃金は大きくAとBに区分されます。
A:月週その他一定の期間によって支払ったもの
(例)欠勤・遅刻・早退などによって減額されない、基本賃金や通勤手当等

B:日若しくは時間または出来高制その他の請負制によって支払ったもの
(例)残業手当、深夜手当など

私は、TOKYOはたらくネットの講習を受けて、この区分けを初めて理解できました。おそらく何も知識がなければすべてAに含めてしまっていたと思います。

③最低保証平均賃金

労基法12条を見てみましょう。
第十二条 この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。

 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十

二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

平均賃金の原則は、12条の柱書にあるように、賃金総額を3か月間の層に数で割ったものになります。
しかし、賃金の一部が日若しくは時間または出来高制その他の請負制によって支払ったものがある場合は第2号が適用されます。たとえば、基本給などは月ぎめで一定額ですが、残業代等は時給計算の場合はこれに該当します。

それでは、第二号をそれぞれに分解します。

「賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額」
→事例企業の基本賃金と通勤手当が該当します。これらの合計を総日数で割ります(計算結果Aとします)

「前号の金額の合算額」
→時給で支給される残業手当と深夜手当が該当します。これらの金額を総労働日数で割ります(計算結果Bとします)・・・「総労働日数」に注意!

計算結果Aと計算結果Bの合計金額と、第12条柱書の平均賃金の原則である「この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう」で計算した金額のいずれか高い方を平均賃金とします。

そしてこの平均賃金を、裏面の「平均賃金(算定内訳別紙のとおり)を記入する欄」に記入します。

ここですね!

ややこしいのですが、すべてが労働基準法の条文通りに忠実に進められているんですね。試験勉強から離れており、感覚が鈍くなっていましたので当初は理解できませんでした、TOKYOはたらくネットの山本先生に感謝です。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
次回も労災関係の手続きをご紹介したいと思います。

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