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相続アドバイザー3級勉強記録(24回目 遺留分編のつづき~過去問分析)

こんにちは、士業開業準備中のZoroと申します。相続アドバイザー3級検定の日々の勉強記録、本日は「遺留分」の過去問分析の続きです。


2023年3月試験の問45-46の概要

事例をまとめると以下の通りです
●相続人は妻・節子さん、長女・貴子さん、長男・哲也さん
●相続財産は96,000千円
●貴子さんは相続財産中14,000千円を遺言により相続する
●貴子さんは6,000千円生前贈与を受けていた(死亡前13年以上前)
●哲也さんは10,000千円生前贈与を受けていた(死亡前10年以内)
●しかし、被相続人は生前78,000千円の不動産を弟に生前贈与していた
●貴子さんは弟に対して遺留分侵害額請求をした場合その金額は?

(1)遺留分を算定するための基礎となる財産の価額計算式

計算式:「①相続開始時の財産の価額+②贈与財産の価額-③債務全額」

①相続開始時の財産の価額

 ここでは96,000千円です。

②贈与財産の価額

 ここが一番厄介です。原則は「相続開始前1年間にした贈与に限りその価額を算入する」とあります。
→「被相続人は生前78,000千円の不動産を弟に生前贈与していた」が該当します!

●例外その1:当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与したときは、1年の制限はない
→今回の過去問ではこのケースはありません。

●例外その2:共同相続人に対する贈与は、相続開始前10年間とする。つまり、特別受益の場合は、1年→10年とするわけですね。
→「哲也さんは10,000千円生前贈与を受けていた」が該当します!
→貴子さんの生前贈与は10年超えていますのでここでは対象外ですね

③債務全額の控除
→今回の過去問ではこのケースはありません。

計算式:「①相続開始時の財産の価額+②贈与財産の価額-③債務全額」にあてはめますと、遺留分を算定するための基礎となる財産の価額は、
96,000+78,000+10,000=184,000千円となります。

(2)各相続人の遺留分額の計算式

計算式:遺留分を算定するための財産の価額×遺留分割合×各相続人の法定相続分

●遺留分割合は相続人が配偶者と子ですので1/2です。
●貴子さんの法定相続の割合は1/4です。

あてはめますと、184,000×1/2×1/4=23,000千円が貴子さんの遺留分となります。

(3)各相続人の遺留分侵害額の計算

計算式:各相続人の遺留分額-遺留分権利者が受けた特別受益-遺留分権利者が相続で取得する遺産の価額+遺留分権利者が相続する相続債務の額

●貴子さんの遺留分額:23,000千円
●貴子さんの特別受益額:6,000千円
→ここがポイントです!この特別受益は、「遺留分を算定するための基礎となる財産の価額計算」とは異なり10年の期間制限はありません
●貴子さんが遺産相続する価額:14,000千円
●貴子さんが相続する相続債務:なし

あてはめますと、23,000-6,000-14,000=3,000千円が貴子さんが受けている遺留分侵害額です。

順を追って冷静に計算できれば大丈夫なのですが、ところどころ躓くポイントがありますから、何度も練習して体で覚えるしかないですね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。次回は遺留分のその他の注意点について書きたいと思います。


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