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相続アドバイザー3級勉強記録(45回目 相続と債権者の介入編)

こんにちは、士業開業準備中のZoroと申します。相続アドバイザー3級検定の日々の勉強記録、本日は「相続と債権者の介入」です。


これまで数回にわたって融資の相続、すなわち債務者側の殻の相続を見てきましたが、今回は逆に債権者の視点から相続を見てみます。

遺言がある場合

仮に、遺言によって金銭債務について法定相続分と異なる割合で共同相続人の相続分を定めても(例 配偶者と子がいた場合に子のみに金銭債務を相続させる)、債務者は債権者の承諾なくして勝手に債務を自由に処分することはできませんのでこの相続分の指定を債権者には主張できません。
ただし、債権者の方から遺言による相続分に従って請求することは可能です(例えば子に資力があり、子も承諾しているケース)。

遺産分割協議がある場合

相続人が複数いる場合の金銭債務は、法律上当然に分割され、各共同相続人が相続分に応じて承継するので遺産分割協議の対象にならないのが原則です(知りませんでした・・・・)。
ただし、遺産分割協議において共同相続人が同意すれば対象としても差し支えありません。
とはいえ、協議が成立しさえすればいかなる遺産分割もできてしまうので、場合によっては相続債権者を害する遺産分割協議がされてしまうことも考えられます(例 資力がない相続人に債務を押し付ける)。

しかし、仮に相続分と異なる債務承継を合意したといえども、それは債権者の関与が無い以上、債権者に効力は及びません。
このため、債権者は遺産分割協議に承諾しない場合は相続分に応じて分割したままで債権を管理し回収できます。

詐害行為取消権

前回の「融資の相続」で、相続放棄について書きましたが、相続放棄や遺産分割協議が債権者を害することを知って、積極的に自己の財産を減少させる詐害行為に該当し、これを取り消すことができるのか(詐害行為取消権)が問題となります。

相続放棄と詐害行為取消権

(例)債務者(債務1,000万円)Aが死亡し、子のBが相続を放棄したケース
相続放棄は、個人の財産を積極的に減少させるものではありません。また、相続放棄はいわゆる身分行為(一身専属の権利)と言って本人の意思が尊重されるべきものです。このため、判例では相続放棄は詐害行為取消権とならないとしています。

遺産分割協議と詐害行為取消権

(例)債務者Aが死亡し、子のB・Cが相続人。遺産は甲不動産と現金1,000万円。CはDに多額の債務を負っており、もしCに相続させたらDに取られてしまうので、遺産分割協議によってBが全てを相続した。

判例では、遺産分割とは、相続人の共有となった財産関係を新たな関係に変更し相続財産の帰属を確定する財産行為であり(身分行為ではない)、詐害行使取消権の対象となるとされます。
上記ケースでは、詐害行為と判断される可能性が高いでしょう。

相続を承認するか放棄するかの判断までは一身専属的な身分行為であって債権者は口出しできませんが、いったん相続を承認し共有関係に入ってしまった後の遺産分割などの権利移転は純粋に財産行為であるため詐害行為取消権の対象となります。

本日はここまでに致します。ここまでお読みいただきありがとうございました。次回は相続と債権者の介入の続きを書きたいと思います。

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