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映画感想2023

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2023年12月の記事一覧

映画感想『PERFECT DAYS』

最高に素敵だった! 登場人物同様、市井を生きる者としてこんな風に日々を描けるヴェンダース監督の才能を改めて感じて嬉しかったなぁ。 同じ様に繰り返されるだけに見える毎日はどの日も必ず過去とは違う。 人生は振り返る事も多いけど新しい今日を見つめる大事さが誰にもきっとある。 この作品を観て来たラスト、平山の車内に流れるニーナ・シモンの 『Feeling Good』にやはり感動はあった。 全編通して選曲は個人的にドンズバ! パティ・スミス、ルー・リード、ヴェルヴェット・アンダー

映画感想『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』

原題「WONKA」 美術や色彩の綺麗さ、ミュージカルだがそれを感じさせないテンポとキレ、ファンタジー溢れる世界感・・・。 単体で観れば楽しくてわくわくしてチョコレート好きなら絶対にどれも食べてみたくなる誘惑がある。 それにティモシー・シャラメ自身が歌って踊ってるしね!₍₍٩(ˊᗜˋ*)و⁾⁾ꕤ しか~し!なにせ“あの”ダークで一筋縄じゃ行かないキャラの前作があるのだ。 今作の監督がティム・バートンじゃない時点でまぁ別物だろうと思ってはいたけれどもさ。 私が観たかったの

映画感想『Winter boy』

原題「仏 LE LYCEEN / 英 WINTER BOY」 クリストフ・オノレ監督の実体験を元に作られた作品らしいが思春期の恋愛や父の死による喪失と再生が不安定な年代の心情に寄り添うように描かれていた。 劇中では一度だけリュカの口から触れられたがこの作品のカギは主人公のリュカだけが父親の死の真相に疑問を持つ体験をしていると言う事。 そのシーンをプロローグに持って来たのが素晴らしいしその体験の有無にこそ彼と家族との【父(夫)の死】への感情や向き合い方の違いが見て取れる。

映画感想『ナポレオン』

原題「NAPOLEON」 ただの軍人がフランス皇帝にまで上り詰めたと謳われるナポレオンの英雄譚を想像していくとちょっと「??」ってなるかも。 一方で戦略的カリスマ性を描きながらも妻ジョセフィーヌへの溺愛ぶりに焦点を当て、不甲斐ない彼の二面性を浮き彫りにするネガティヴキャンペーン開催中だったww そういう側面を知れる機会として観に行って良かったとは思うが・・・ 淡々と描かれるナポレオンと言う人物像に個人的にはちょいキモで好きになれない部分もあったがそこはリドリー・スコッ

映画感想『首』

北野武が書きビートたけしが演じる“裏から見た戦国時代” 「これが俺の解釈だ!」と叩きつける様な出来栄えだった。 面白かったのは監督が「いつもとは違う側面が見たい」と配した加瀬亮演じる織田信長の狂気に相対し自ら演じる秀吉と側近である弟の秀長と黒田官兵衛3人のシーンが全編通してアドリブ有りのコント仕立てな真逆さで描かれていた事。 この緩急が無ければ結構一般的にはハード感が倍だったかもしれない。 秀長を演じた大森南朋なんて結構笑いそうになってた感あるよ。 でも黒田官兵衛を演じた浅