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私の耳

おつかれさま
今日はビールの日
発泡酒じゃなくて
きくらげを
卵で炒めた
少し濃い味付けにして

ねえ
死ぬ時のこと考えてる?

尋ねながら
耳を見ている

この耳の形が好きだ

上の方は尖ってまではいないけれど
ウルトラマンを連想させる
ヒーローだった
ウルトラマンは
人間として生きている
今はそれなりに老いて
千葉の海沿いで
暮らしている

耳たぶはあつい
しかし福耳ではない
なり損ねた感じ
ペンキを厚くつけたせいで
塀の途中で固まってしまった膨らみ
たしかに
何度も抱き合った
耳朶に赤らんでゆく

この耳に
私の
いろいろな音を聞かせてきた

指で弾いてもいいか
聞く必要もないのに
改めて聞いてみたのは
二本目の缶を
半分飲んだタイミング

この耳が
好きなのよねぇ
ほんとに
人差し指を前後させて
赤らんだ耳たぶを
ふるふる弄る

好きな耳を
私で育てた
この耳は

のだ

耳だけは残してね
死ぬ時がきても
切り取るのは無理だから
どうにか型を
取らせてね

「何で泣いてるの
泣き上戸
だったっけ?」




めちこさんの記事から発想をいただいた

フィクションです


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