見出し画像

美貌の人たち

美貌の人たち

所属していたコミュニティのなかに一人や二人はいなかっただろうか。凄い美人や美男子。

母集団が大きいほど存在確率は高くなると思うが、私が過ごしてきたコミュニティの中でも何人かいた。とんでもない高嶺の花。娘が学校で覚えてきた「高嶺の花子さん」という曲をリコーダーやウクレレでたどたどしく演奏する。何となく覚えてしまった。

その、高嶺の花とおつきあいした、などという輝かしい思い出が有るわけでもなく、そういった人のことをただ一方的に見ては「美人だなぁ」などと思っていただけだが、今、かつての美少女、美少年たちはどうしているのだろう。

私の知る美少年は福山雅治に似たスポーツの出来る奴だった。勉強もそこそこできたが不運にも第一志望に落ちて意図せぬ高校へ行った。その後大学を経て一般企業から公務員に転職した。友達の結婚パーティーに一緒に行ったとき、ものすごいモテ方をしていた。ああ、美男子で公務員だと女はこんなによってくるものなんだなあ、と半ばあきれつつうらやましくその光景を見ていた。群がるものはきちんと群がる相手を心得ている。すっかり疎遠になってしまったが、彼はおそらく未だ独身で、後数年で定年となる。しかし、同年代の女性方にはモテ続けているだろう。

美少女だったあの娘やこの娘は今どうして過ごしているだろうか。なまなかなタレントなど目じゃない美貌の少女たちを知っていた。まさに高嶺の花の存在。しかし私の知っている彼女たちはテレビの画面で見ることもなかったし、風の噂にも上らない。たまに同級生に会っても誰も消息を知らない。みんなあこがれていたはずなのに。口裏を合わせたように知らないと言う。まあ、本当に知らないのだろう。

たまに、病院の受付や、サービスエリアの食堂や、信用金庫の窓口などで、「凄い美人」と思うような人が忙しく働いている様を見ることがある。美貌の人の大半は地味に、幸せに暮らしているだろうと思う。全国にそんな人がたくさんいて、ふつうに、平和に、すこし得したり損したりしながら暮らしているのだと思う。

*

こういうのルッキズムっていうみたいですね 最近知りました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?