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予報

予報

昨日は会っていても、会っていなかったような人と、遠い昔に出かけていって、あのとき言い間違えたことや、本当に思っていたことなどをノートに記して遊んでいた。ムーン。月。イースト。東。今日は訪ねてきた人を家に返しがてら線路沿いに歩いていって、冬なのに夏のような空だ、といって不思議な顔をされたのだ。ついい、つい、と絞り出す、あの鳥はどこへ帰るのだろうか。一年前にも同じことがあった。その前にも同じことがあった。そして来年も、繰り返されることだろう。部屋にいて、階下からときおり堅いものを落とす音が聞こえるのだが、そのたびに郵便受けが開かなくなるのはなぜか。ダイヤルの番号を覚えていられないのだから、いつも側に居てくれないと困るのに帰ってこない。不微雨、というのだそうだ。夢では天候を教えてくれたくせに、早く戻ってくればいいのに。明日は会ったことがないが話だけはたくさんした人と、話した分だけの対面を埋め合わせなければならない。今更やりなおして置こうという。線路沿いの道をふさいで、立っている欅の樹を切り倒したい。あのいやな鳥の古巣まがいの。小雨が予報されているから。

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