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秋、たき火
秋、たき火
秋、たき火をしたい。町場ではたき火はできなくなった。以前は、段ボールや雑誌まで燃してしまったものだが、ダイオキシンがでるらしい、今では刈り取った草木すら燃せない。煙が洗濯物をいぶしてしまい、においがついてしまうという住宅事情もある。
たき火をするには、たき火をできるところへ行かなければいけない。しかも、燃やせる物も決まっている。この際だから、と段ボールなんか持って行ってはいけない。たき火ができるキャンプ場、というのが一番無難なところだろう。
しかし、そんなところでもいろいろ制約があるようで、たき火をするための台が必要らしい。どのくらいの薪でどのくらいの時間、燃焼が続くのかよくわからない。
たき火がうるさくなかった頃は、何でもかんでも、火にくべて燃えるのを見ていた。ゆらゆら燃える炎を見つめていると、ある種催眠状態のようになり、目がトロンとしてきて心が空っぽになっていく。あの感覚、そういえば何十年もたき火の凝視から遠ざかっている。逆に、キャンプへも行かず、しばしば炎を凝視していたら怖い。
火を扱う職業にも就いていなかったのに、また、今も就いていないのに。秋、たき火をしてみたい。しかし、渇望と言うほどではなく、田舎道を通りかかったときに、わらしべを燃やしているところがちらりと見えるだけでもおそらく半ば気が済む程度だ。
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