ストリートピアノ

ストリートピアノ

市場は
一息
一服にタバコと
コーヒー

トラックが
人混みを分けて
入る
ユニックで
静かに
ピアノが降ろされる

古くて
角が剥げている
音はすこし
ラグタイム気味
長い事
調律されていない

誰が最初に
弾くのかな
子供がお母さんに
尋ねた
ピアノに
打ち込んだ
思春期を母は
思い出す

三位どまりのコンテスト
エコバッグの中に
トマト
と玉ねぎ
今日の昼はパスタ

一番手は
少女
演目
ねこふんじゃった

市場の
ざわめきは途切れない
飲みかけのコーヒーに
吸い終わったタバコを
落とす

お母さんも
弾こうかな
ドキドキする
一人称が
心の中でも
お母さんのまま

何弾こう
難曲は野暮
それに指
動かない

誰でも知ってる
ビアノ曲
月の光?
ジムノペディ?
にぎやかな市場に合わない

がわる代わる
弾いては人が
あ
あの人上手い
この人は雑
ふたたび
店店から
呼び込みの声

弾くの?
子供が見ている
うるんだ期待の
両目を開き

鬼滅の
弾いてよ

知らないよ
さっきだれか
弾いてたし

他には

トマトや
ピーマン
補充される
赤
緑
や土の色

お昼前
一層人出が
暑くなる
さっきから
ピアノの音は
やんでいる

お母さん
私
弾く

人をすり抜けて
二人は
ピアノの方へと
歩き出した

どんな曲かは
どうか想像
して見てください

コメントからヒントをいただき
久々に書けました
詩のようなもの

ミュージシャンは逆さ言葉で　ヤノピ　　アノピではなく