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舌打ち

舌打ち

こんな題名の文、読みたくない。ほかに、どんな題名の文章を読みたくないだろうか。絶望。嫌な奴。仲間外れ。しかし、意外とそんな題名の文学作品は有りそうだ。

明るいばかりではやっていけない。ときどき、どっぷりと嫌な気分に浸りたくなる。舌打ちが癖になっている人、手を挙げてみてください。セミナーの講師が呼びかける。私は素直に手を挙げる。そのほかに何人か、ちらほらと手が上がる。すれ近いざまに耳元で舌打ちされる。その場合、相手をつい殴ってしまったとしても致し方ないような気もするが警察に捕まる。なぜ、相手が耳元で舌打ちをしたのか、知らされないまま示談金として十五万円で手打ちとなる。不条理な夢にでも有りそうだ。

舌打ちに驚いて、周りを見渡す。アルバイトの若い女性が紙を折っている。聞き間違いかと思うが、確かに大きく響いた。舌打ちに似た音を思い起こしてみるが特に思い当たらない。自分が無意識のうちにしたのかとも思う。その時だけだった、そんなことは。だからよく覚えている。

舌打ちの代わりに指を鳴らす人がいるかもしれない。その人が抱えている問題は誰かにとっての飛躍のきっかけになるものかもしれないと、そんな問題とはどのようなものか考えていたらもうすでに夕方だ。ため息という題名の文を思いつくがあとまわしにして、後回しという題名の・・・ 

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