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にくいあの娘

人生は死ぬまで

近頃の大学はパソコンがいるらしくて
妻と娘を伴って意気揚々と乗り込みました
昼下がりの家電量販店
えぐい値引きを迫ろうと
しかし 若い女性の店員さんだったので
ついつい値引きを容赦して
77000円と決めてきたのが85000円で
手を打っちゃった そのうえ持ち運び
バッグまで買ってしまって
とぼとぼ家に帰って今 ようやく
各種設定が終わった所 つかれた zoom
は自分で入れるように musumeよ

校舎の端 コンクリートブロックに
囲まれた焼却所があって
掃除当番は学年階のごみをそこまで
運んで燃やす
両手で抱えて 少し腰をそらすように
運んだ重たいゴミバケツ もうひとりの
当番はにくいあの娘 それはもう
ザッツオーライ 浮かれ気分で
おいらに任せてって感じで ファンキー
階段をふたり下りて行った

あの娘と着いたごみ焼却場でふたを開けたら
バケツの中身が大量のナプキン
棄てられているわけで
使われているわけで
あの娘はそれを知っていたわけで
黒く乾いた傷口のような染みが
多い日も少ない日もとりどりに
サンタクロースの背負った袋の
袋からぶちまけ 燃して という
しもべをいたぶるような笑顔で
有無も言わさず にくいあの娘

山になった四角い綿を
ゴミ拾いでつまみながら
黙々と燃え盛る焼却炉の口へ
つぎからつぎからくべていく
かがみながら見上げると
にくいあの娘は屈託のないぴかぴかの笑顔で
このひとどういうつもりなんだろ
全くいかれてるって話で

人生は死ぬまで が一生ですから
って書いた付箋が
読みかけの本に挟んであった
ともかくも
そんな遠い昔の事
思い出した


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