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ひとと詩人

ひとと詩人

ひとが
作ったものは
どんな形であれ
自然に似せた
ものであれ
ひとが
作ったものだから
人間まみれ

古くから知り合いの
詩人が
つぶやいていた
言葉から
そのような
理解をした

箱を塗る
鏡のように
姿が映るまで
塗っては
研ぎを
繰り返す

板金塗装
凹みに
パテを埋め
塗っては
削り
磨く

その反射に
人の匂いが
濃厚に
まとわる

そんな見方
したことなかった
自動車の
ボディ
やわらかい

考えを感じさせないと
いうことは
逆に
極めて
人間的だと

ならば
また
逆に
考えを出していく
事を突き詰めると
人間から
遠ざかっていく
という
成り立ちも
ある気が
する

徹底的に
自分に
こだわる
そのこだわりが
過ぎると
おもいは
精密機器となって

髪の毛一つ
見逃さない
やわらかい
マシーン
として

入り口の
堅い
人間の

微細な
弱さを
崩していくのだ

そのように
機材を組み入れ
より人間から
はなれていく

そこに
自然
としての
人間を見る

自然から
引き倒される

意識が
消えた時
人間は
かたちとして
自然か

自然と
人為と
重なって

何か別の
うつくしい
ありようが

私に
探すことはできないか

できないか

何故
人間的な
ありようから
うつくしさを
見いだせないのか

人間に
まみれすぎた

まみれすぎた
人間に

人間から
遠い
ものを書きたい

その願いは
詩人から
打ち消されてゆく
詩を書こうとするものに
時に鬼門と
詩人は
ならなければ
でなければ
詩人と
いえない

まみれはおちても
イメージだけが
人を
忌避する

静かに
洗い流す
ときの

それを
人と
遠くに
書きたい

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