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置いて行かれる

置いて行かれる

すっかり置いて行かれてしまった。もう追いつく距離でもない。なんとなく置いて行かれる気はしていたのだが、どうにかなると甘く考えていた。さて、どうしようか。連絡を取る気にもならない、というよりその考えは頭から抜け落ちていた。先に行ったひとたちと後から合流したとしても、そもそも私はそのグループに不可欠な存在だったか。いつもできるだけ下座にいて、発言を求められないようにうつむきながら、次々に自分も考えていた思いつきを先回りして言われ、どんどん非現実的な方向へ考えが向かい、それでも当てつけの様に指名されあらぬ答えを返して黙って頷かれるだけの話だ。それでいい、と言ってくれたひとは次々にグループを離れ、もう私がそこにいる価値はとっくにないはずなのに、いつもぎりぎりに連絡が来て、断るとその後に響くというような軽い圧迫を付け加えられるのだ。今までは間に合うようにやってきた。何度も引き返そうと思いつつかなり早い時間からみんなを待っていた。今回もそうするつもりだったのだが、間に合わなかった。なので、もういい。一度間に合わなかったらもう今までの努力も台無しだ。もし、許されたとしても今度はこちらから台無しにしてやる。いま、なんだかものすごく怒ってきた。なにもかも許したくなかった。怒りにみなぎり風の中、誰にも見られず仁王立ちだ。

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