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今までにない

今までにない

今までにない。こんなの初めて。なんだこれは。と、たとえばカンディンスキーの絵、ダダ、北園克衛の詩、ヌーボーロマン。何か、たとえが古いが、それまでになかったものは両極端の反応を生み出す。表現の世界で。

私は今までになかったものは基本的に好きだが、それが自分の肌に合うものかどうかはまた別で、新しいけど、どことなく気に入らないという場合も多い。そして、そこにフォロワーがついて、そのフォロワーの中からまた新しいものが生み出されることも有れば、いつまで経っても真似のままという、むしろそちらの方が普通で、多い。有る意味、これは健康な反応だろう。

新しいものが次から次から発生するのは人間の身体で言えばあまりよい状態とは言えないのかもしれない。今までにない感覚、違和感、とくにしびれや痛みといったものについてはそこに重大な疾患が隠れていて、下手をすると命取りになりかねない。食事中、急に腹痛となり、病院に運ばれたときには癌も末期だったという人を知っている。新しい感覚というのは基本的に恐怖なのだ。

その恐怖を楽しめるのもまた、感情というやっかいなものを宿痾にした人間のなせる技で、その不吉度が強ければ強いほど磁力も強く、心に作用する度合いも強い。排除されるべき病巣か、歓迎されるべき新しい世界のとば口か、少し時間が経過してみないと分からない。

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