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春 野外 弁当

少し早めだったけれど屋外の公園で弁当をたべ
てみた 本当は桜の終わりごろに計画していた
がなんとなく昨夜の炊き込みご飯が余っていた
ので 買ったまま二年手元にあったわっぱの
弁当箱に詰め 玉子を妻に焼いてもらい その他
あり合わせを入れて竿袋に使おうと思っていた
グレーの布地に 釣り道具とともにバッグに入れ
て 都県境の川を渡った

昼過ぎにいつもの水辺に着くと 午前組だろうか
独り対岸で竿を水に突っ込んでいる老人がい
て 何かが釣れたところが見えた ずっといるの
か いつも午後はここの所独り占めだったから
少し疎ましい気がして我ながら自分勝手だ まず
魚籠を水路に投げ入れてから 手を水飲み場で
洗い 弁当箱をふっと開いた 炒り卵の黄色が
きれいだ 醤油を混ぜて焼くと黄色がくすむので
味付けは砂糖と塩でとリクエストした 少ししょうゆ
を後から垂らし それでも色は鮮やかなままで
切り干し大根と人参の煮物 関西では炊いたん
というのか 昆布の佃煮 少し果物の風味が
ある それからチーカマを斜めに切ってもらって
一本 仕事でたまに折詰弁当が昼に出されるこ
とがあって そういう時は大抵総出で 忙しい
時だからものの十分足らずでかきこむのが常
だった だから 弁当の一番おいしい食べ方は
のどがつかえる寸前に食べたものが食道を伝って
塊で落ちていく感覚がするくらいの早食いに
なってしまって 塩分摂取量とともに体に悪い事
この上ないが 春 野外 弁当 そうそうある事
でもないので 快楽を優先させる この のどに
つかえる感じというのが のど越しと言われる
ことなのか 下手にのどで味わうとここの所誤嚥
するので 下手にやらない方がいいのは重々
承知ではあって

今回は三尺 90センチの竿を出して釣りもした
細長いの つまり クチボソ それからたまに
タモロコが混ざって 一束釣った所で飽きた 岸に
近いところより竿を伸ばしたあたりの中の方が
当たる 昨日も暖かかったから だいぶ水が
ぬるんでいるのではないかという目論見で勇ん
だが 水量が少なく ここは日陰になることもあ
ってあまり活性がいいとは言えず 籠の方にも
それほど小魚が入らない しかし ちらほらえび
が出て来て 大き目の青いクチボソも混ざる
七色のタナゴまではあと一息まで来ているようだ

菜の花は土手に咲き始めている ラジオで壇蜜が
喋っていたが 途中で腹痛を起こして中座した
壇蜜は声がくすぐったくて そのような感情が
起こる相手にはそれだけでアドバンテージが
明け渡されている 男蜜男 などというと字面
だけで滑稽かつ腐な気がする 腐女子の意味を
娘から教えてもらった 薄い本

帰りに河津桜の川沿いを通って帰った 人が
結構出ていてスマホで花を撮っていた 去年
道に迷いながら八幡神社まで行ったあと 知ら
ない川沿いに染井吉野が咲いていた時 上着
はぺなぺなのバラクータだったから 少し寒くて
だが季節は今より少し後で その時に買った本
のひとつは読みかけで枕元に投げてある 本を
間数年空けて読み終えることがよくある ある

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