見出し画像

冬の劇場

冬の壁面にうつる
枯れ木の翳はひとつの劇場
見るのではなく
演じる
場所

あなたは
向こうから歩いてきてください
枝の翳に気を付けて
その部分は
黒点から広がる
生きた網だから
からめとられたら
それらしく演じて

私はこのあたりに立っています
微速をたもって左右します
腿に力をいれて
緊張してたちます

誰がそれを見ますか
誰も見ない
だから時間がものすごくかかる
具体的には
午後二時から日暮れまでの
開演を予定も
でもすぐに終わるかも

斜めから照らされて
二つの翳がやや太めの幹になると
熊笹を鳴らした風が渡る
どきどきする
切り取られた

噂が聞こえる
劇評ともとれる感想が
聞こえると勘違いして
かすかに微笑んで立っていた

私たちは違う
白い壁にうつっただけの
堅い枝ならば
はっきりとも
きっぱりとも
多分することはない

冬の壁面にうつる
枯れ木の翳はひとつの劇場
見るのではなく
多分
感じていたのだ
うしろめたくに




コメントのやり取りからインスパイヤード

書き立てほやほやをアップしてみます


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?