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筍おこわというのを

百均で買ってきた黒に近い緑の葉の少なくて
大きな植物をテレビの上に置いておいたら 霧
吹を持った娘が小さな虫がびっしりたかってい
るのを見つけて ベランダに出してしまった テ
レビはメタルラックに置いてあってその上は棚を
わざと開けてある 冬に入るとそこから陽がさし
てきて眩しいという事を今年は今朝初めて気づ
いた ほんの一時間程度の事で 額からやや
はなして手をかざし 日よけにしてテレビを見た
金井克子

久しぶりに職場の夢を見たが悪夢で 何故か
机についていたら灯油をかけられていた 夢の
中で少なからず鬱憤が溜まっていたようで な
んの根拠があってこんなことをするのかと激怒
し こちらも灯油を誰彼構わずかけまわし スチー
ル製の机やラックを闇雲に蹴ったり大暴れして
いた そのうちのひとりは死んでもうしばらくに
なるFさんだった 確か 私が早期退職した52
歳で亡くなった つまり Fさんと私の就労年数
は現在ほぼ同期間で この先私が就労年数を
伸ばすことがあってもFさんはもう伸ばすことが
できない もちろん子を持つこともできない 私
は一応まだ生殖能力を有している

何だろう この展開 先週の遠い水場をまだ思
い出している 約束通り帰りに道の駅に寄って
大きなカリフラワーを買った すっかりカリフラ
ワーも高級野菜になって たまにしか食卓に
並ばない 相場感よりやや安く重い ほうれん
草はスーパーの方が安かった その分多分
新鮮なんだよ と妻は言っていたけれど 新鮮
なら新鮮なほど 野菜というのは味のいいもの
なのだろうか 旬の野菜はいつもとの違いをさ
すがに感じたりしても それ以外の時 採れ方
店頭までに並ぶ時間によって味が変わるのか
長く生きてきたが知らない

昼下がりに差し掛かっていて今からしっかり昼食
という時間でもない 道の駅の簡単な飯物の
パックなんかで昼食を済まそうと いくつかおこ
わが並んでいる中 筍おこわというのをひとパック
買って二人で分けることにした とここで朝の
踏み台昇降の時間となったので十分間の運動
を挟んだ 当初スケーターズワルツくらいのテン
ポで踏んでいた台も今は小走り程度の速度に
アップして 終わると薄っすら汗をかいている
そういえば今朝足踏みしていた77キロ台をよ
うやく割った

湖沼を前にした広場の端の 日当たりのいい椅子
で妻と一つのおこわを食べた 今は米飯自体が
毒に傾く作用を身体に及ぼしているので我慢し
てほんの半分 分け合って食べると言っても
交互に箸を取り替えるのではなく 前半が妻
後半が私と半々に分けた あらかた食べ終えた
妻が これくらい とパックを差し出し いや もう
ちょっと と差し戻す 味付けがしょっぱい とい
うのを妻は薄味が好みだから とそれほどでも
ないのだろうと考えて引き継ぐと 確かに濃い
味好みの私からしてもやや塩気が勝ると感じた
多分煮つけた物を混ぜた筍もしょっぱかったが
大根の桜漬けがほぼ塩と感じた こんなに塩辛い
漬物初めてだ と広場で子を遊ばせている母
たちを やや異性とした目で見ながら言った
この対岸に高校があるがその対岸 つまり此岸
にはコンビニ人間の作家の出身高校が森のただ
中にある

竿尻の竹の穴 そこにする栓を作ろうと思った
以前買い求めていた特殊粘土がまだ固まらずに
使えたので竿栓 それから練り餌を受ける小皿
を成形して色を塗った まだ柔らかいうちにあせ
って色を塗った所 その部分に細かなひび割れ
が出来た その時に何故か床屋で髪を切る音
と髪が回し被されている防水ビニールに落ちる
ささ という音が聞こえるような気になった あの
音が好きだ 何度か重ねて色を塗った

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