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相場という芸術

相場という芸術

相場というのはご丁寧に毎回毎回アートだ。日本株だからと言って日本だけで完結するものでなく、世界情勢が密接に組まれて、そこから人間の集合の思惑が値を動かして、セオリー通りに行くと思いきや、裏から思いがけないファントムが現れ、ほとんど支離滅裂な、現代アートのような値動きを描く。また、相場というのは詩だ。人の想い、それも沢山の人の、ある人はこれ以上逆に行くと心中、というような土俵際で、またある人は資産が勝手に増え続けて、しかし勤勉を善とし、理不尽な境遇に身をおいていたりという、何というポエティカルな背景をチャートの線に描くのだろうか。詩であり、アートなので、タブーと言うのはあり得ない。なるようになり、なった結果がすべてというのが相場だ。そして、それが、人間の営みと同様、基本人間の居る限り続く。中断はあったとして、必ず再開もその先に予定される。そして、相場というのは壮大な物語だ。人の生きた記録、人の喜怒哀楽の記憶、人の営みの大塊の記憶が、あまたのチャートに描かれて、あまたの数値に刻まれて、再現したり、未知の動きをくねりながらひとつひとつ積み重ねられていく。このように言えば美しく崇高な物に思えるかもしれないが、とんでもなく下世話でもあるところが相場が芸術であることの証左だ。

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