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放心

放心

放心のうち庭に立った。防草としてコンクリートが流されていた。その上から砂が盛られ、何度か大雨に崩されているようだった。放心のうちに見わたせば、コンクリートはダムになり、砂の小山は海岸となり、海をダムでせき止める、と放心しながらつぶやいている。ここまで来るには様々な邪魔だてが有った。笑い事ではすまされない中傷も受けた。柵のようなものに逆らっているうちにいつの間にかここへきて棒立ちになっていた。いつしか棒立ちはほかに何人もいて、やめてください、とか、おっしゃることは分かります、などと誰かにそれぞれ抗弁していて相手が実在するように私には見とおせる。ということはもう放心などと言う甘えは棄てて、順調な事業を無碍にする時がきたのか。または、明らかになっている仕様を形骸化することが求められているのか。なにごとも始めから開始され、などと謎の原稿を書き始め、順番を待つ列に連なったのだ。そこで、人をせきとめるダムの波とか、うつらうつらの砂だとか、様々な悪企を繰り出していくのだが、次から次から放心した人たちが入ってくる庭に足止めされて、無闇に蓄えを分け与えてしまう。

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