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許さぬ構え

許さぬ構え、見たことが。

ふわりとあたりに漂っていた雑多な嫌気が、緩い渦になって回っているうちにどこかへ消し飛んでしまったり、ふるい落とされていくうちに寄せ集まり固まって、緩い渦はいつの間にかかなりの速度で回転し、気がつけば怒気と固まり焼き鉄のような黒光りを見せ、ついには星団の高速をもって周りを破壊して回る。

これが私の、言語化しえた許さぬ構えだ。

かつてただ、一度だけ、断固として許さぬ構えを表明したとき、私の中では憤怒が均一に溶けて同位し、むしろ単純に悲しかった。

ひととは悲しい戸びらと書く、と説き伏せられた遠い放課後くらい薄暮れて。

その扉は堅く長く閉ざされていのたがいつの間にか開いていて、いまはもう、自由に出入り出来るというのに、だれもその戸を潜ろうとせず、けだし、それが許さぬ構えの結果だとしても、なお悲戸を断固として開放しておく。

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