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九月の朔の日を前にして

夏の終わり 八月の終わり 九月の朔の日を
前にして 子供らは宿題に半べそかいているの
だろうか 昨日通院で出かけたから何となく
勢いがついて 昨日いけなかった用事を片付け
るかと 昼食休みを挟んで 昼下がり町に出る

もう写真のストックが残っていない ここの所
何という事のない私の写真が スキをたくさんい
ただいていて となればおだてられて顔を赤ら
めながらまた絵になる場所を探したりする単純
さ 昔から変わらない性格を子供から数倍にふ
くらんだ体に乗せて ちょっと裏に回ってみたと
ころ もう撮り飽きた町裏に草だらけのがけ地
から降りてくる原っぱ と言っても原っぱいうほ
ど広くない に葛の葉むらがこんもりしていたり
むくげってこんなに大きな花を咲かせるんだ
と驚きの大輪が秋風めいた強い風に揺られて
いたり 錆びたとたんと垂れてくる草が意外に
いい取り合わせだよな などと思いつつ川沿い
に図書館へ

月末 図書館休み 忘れていた そうだ 以前
より長く 休みもすくなくなった図書館だったが
月末は休み 何か面白い本をあさりに と思って
いたのがたち切れになるもまあ 思い立ってみ
たが思いが叶わないこともありがちありがち そ
のままぐるりと私の時は創立100年だった小学校
のまわりをぐるりと回ってみた 教室から見えた
友人の家は40年前に火事になり そこにマン
ションが建っているもののそれももう見ように
よってはビンテージなのだろうか 教室のまどには
まどを遮るような太いはすかいで耐震の補強
がされている あ ということは学校も築50年
ということで 建て替えどうこう議論があったが
それもどうやらたちぎれているようで 市長は
市役所の建て替えばかり考えているかたち残る仕事
を残したいのだ

日差しは強いが日陰はもう季節を一コマ進めて
風の中町を流れる川べりにふらふらしてみる
江戸川に手前にある川は町中を流れ 片方は
土手の下をくぐり江戸川にそそぎ 片方は農地
の水を満たしつつ上水機場を通過して線路橋
の下の水門へ続く よく考えてみたらその分岐
にある家々は島なのかなどと考えつつ細い方
細い方へと辿っていくと 木に阻まれて道が
行き止まりになっている こういう展開が好きだ
行ったけれど何もなかった それでも何か思う
ところがあった というような ふさふさした枯草が
やけにタイヤに絡むのを無理に回して自転車
を引き返す この川にはいつも大きな鯉と群れ
り小魚が行きかっている 昔は違った 汚れて
いた川に魚が戻った

いくつか面白いものも撮れて 川に伝って町中
にもどると 神社の鳥居から向こうが樹々にか
こまれた行き先が穴のように開いていることに
気づいて そのアングルから一枚撮ろうと 手前
の駐車場で自転車にまたがったまま 人が通り
過ぎるのを待っていた 駐車場では職人風の
人がバンの中でエアコンをかけて椅子を倒して
こちらを見ていた 老人男性 女性 老人女性
の順でこちらに歩いてくるのを通り過ぎたら撮ろ
うと思い 老人男性が過ぎた 女性 いくつぐら
いかよくわからない 紺の服を着た ゆっくり歩
いて 鳥居で くるっ と踵を返して ああ いい
瞬間 思わず写真を撮った 女性が神社に一礼
したのだ こういうところが撮れたから今日の
日はよかったのだ やけに汗をかく日ももう何
日も過ごさぬはずだ


家で確認してみるとただ遠ざかる女性の写真 これ           もありがちありがち     


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