週末　彼岸に行ってきた

どこも混雑してますからね
週末ついにあの世に
行ってまいりました

ねたきりだったおばあちゃんが
和服で木の陰に立っていた
ほんの小娘なんだけれど
おばあちゃんだとわかるもんだ
特に会いたかったわけでも無くて
それでもあえればどこか
うれしくて

親父には用がないけど
やっぱり当然いるんだよな
いつの間にか後ろに立ってる
そして小言を言っている
しかし言葉は意味にならない
苦言だという事だけ分かる

おお　たくさんいる
昭和の往年のスターたち
向こうからあいにきてくれるとは
よっぽどこっちの話を聞きたいんだ
そこに車座になってください
あなたのお孫さんは覚せい剤
で捕まりましたよ
あなたの娘さんは借金で
苦しんでます
そんな顔をされてもね
ああ　大きなお宅は
タワマンになってますよ

お　こちらは皆さん幸せ
そうですね
まあ　こちらの皆さん誰も
幸せそうですけどね
子供たちがたくさんいますね
みんな金色の帽子みたいの
かぶってますね
幼くして亡くなったから
何だか特別扱いらしいよ
それから理不尽な被害者とか
自然災害の犠牲者とかも

残してきた人たちが　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　気になるのはよくわかります　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　残された方も気にかけてます　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でもそのうち忘れるんですね　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　悲しそうな顔を見せても　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ほんの一瞬じゃないですか

彼岸の丘に立ってみると
見渡す限りのひとのうみ
ひしめき合っても誰も皆
命を無くしてそちらがわ

懐かしい人たちにも会えたし
そろそろ此岸も恋しくなったし
誰も悲しむものもいないし
そろそろ限界
帰りますね
そろそろ限界
帰ります