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十五夜

十五夜

中秋の名月。十五夜。また、月の写真を撮ってみた。60倍の倍率だと、望遠鏡のような使い方になっているのか、デジカメで。光学60倍だとデジタルズームでさらに倍か。遠いところを見るのは素直に楽しい。アマゾンのレビューでこんなに遠くが見えてしまうなら盗撮が心配だ、と書いてあったがレンズの方向を下に向ければ確かに部屋の中が覗けてしまう。それはやってはいけない。自制している。ばれなくてもしない。重要なことだ。

ところで、月並み、と言うくらいで月はいろいろなところに顔を出す。月見、花鳥風月、月の満ち欠け、満月の狂気、そういえば、ピンクフロイドの「狂気」はダークサイドオブザムーンが原題だったかと思う。レコードで言えば裏面の、浮遊感というか気流感というか、遠くの楽器に合わせて静かに歌うようなパートが好きだ。プロコルハルムの青い影に少し似ている。あるいは逆かもしれない。ラッセンの絵には月夜とイルカ、夜の海。海と言えば「静かの海」というのが月にあった気がする。月を花鳥風月の文脈以外で文章にしてみようとしてもイメージが強すぎてなかなか別角度を思いつかない。

そういえば大学の入試に「荒城の月」が出題された。高校の同級生でがり勉君が無理矢理みんなからはやし立てられて仕方なく歌ったのが「荒城の月」だった。その選択は驚きを呼ぶとともに彼らしいとみんなが納得したのだった。勝手にみんな月を見ている。何を思われようと月は慣習で回っているだけ。

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