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井桁

井桁

井桁に組んで。後でとりやすくするから、といったもののどうしてこんなに高く積み上げてしまって。高すぎてとれない。背丈よりずっと高く豆の木か。ここまで積まれてしまったら、井桁もなにも無い。隙間に何か入り込まれても、もう手に負えるものではない。まさか芯棒なんて通してはいまいか。そこまで思い至らなかったか。で、この井桁の塔。どうするか。はじめは人の役に立とうとした製品も、こんなに積まれては下の方はすでに拉げて、あいだ、ところどころ訳の分からない青や黄のとげとげも混ざって、なんで少し留守にしただけなのにこうにまでなってしまったか。私がなんで留守にしていたのか知らないだろうけど。知らないままでいいから言わないけれど。どこへまで行ったのかぐらいは知りたいかもしれないがそれも秘密にしておくけれども。ただ、あちこちでいろいろな目には遭ってきた。で、帰ったら井桁の塔。留守にしていても怠けもせずに、きっとがんばって組み上げたのだろう。隙間から声が聞こえている。がんばったあげくのあのあられもない声。

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