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バンパーの血

バンパーの血

高速道路をよく使った。成田を過ぎると雑木林が続く。明かりも少ない。そんななか、百キロを超えるスピードで上ってゆく。
事務所について車をパーキングに入れ、後処理もそこそこに逃げるように帰宅する。
翌日も外勤に出かける。
タワーパーキングから出てきた車の白いバンバーにぽつぽつと血がこびりついている。筆を振ったように、赤茶けて。何を轢いた訳ではない。おそらく光に寄せられた吸血の虫(蚊の類)が時速100キロの車体に当たってくる、いや、そのような虫が道路に濃くたむろしていてその中を100キロで通過した結果と考えた方が正しいと思われる。暗い雑木林にはいろいろな生き物が潜む。たぬき、いたち、いのしし、さる、ねずみ、さまざまな虫、なめくじ、ひる、だに。
もともと続きの雑木林を道路が分断したのだ。何の血だろう。何にしても病原体など含んでいそうだ。そのまま出かける。空中の鉄粉や塵に混ざって血は茶色く、やがて黒ずみ、点々と残る。雨の日に、とってつきのスポンジで荒々しくこそげ落とされるまで。


今日

地味に連続投稿100日となりました

しばらくしたらペースを落とすかもしれません

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