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お盆あけ

お盆あけ

終戦記念日が過ぎると盆も明けていく。茄子の馬に乗って黄泉の国へと魂は帰って行く。黄泉の国の住民にとっては年に一度のお勤めなのかもしれない。息子の様子を見に来て、腹を立てて死んだ親父は彼の国へ戻っていったか。特に迎えも送りもしていない。そして、勤め人はその身分の証明として、通勤の交通へと乗り込む。やり慣れた仕事に戻るのか。あるいは盆明けから始まる予定だった新たなプロジェクトに戻るのだろうか。顧客は早速、盆明けに問い合わせの電話やメールを矢継ぎ早に送ってくる。当人たちすらしたくて問い合わせしているわけではないだろう。いやがおうにも盆前の世界に引き戻される。ずっと休んでいるわけには行かないのだ。世の中には盆も正月も、土曜日曜も関係のない人たちが沢山いる。毎日、ただ起きて食べて寝て、起きて食べて寝てという人、自分で何もかも一人でこなして気がつくと眠りについてまた翌日同じような生活をしている人。何日か続けて起きていて丸一日寝ている人。入院生活を送っている人、旅を続けている人、勉強ばかりしている人、いろいろな人がこの国で生活を送っている。暑さや寒さを感じたり、腹を減らしたり、お腹を壊したり、忘れたり思いだしたりしながら空気を吸って生活している。

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