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帽子

帽子

帽子をかぶる習慣がない。真冬、ニットのすっぽりとかぶる帽子は暖かい。冬になるとニット帽をかぶった男女が街に増える。夏。帽子は日除けになる。昨今の夏は異様な高温をしばしば記録するので、場合によっては帽子は実用的に不可欠なものなのかしれない。しかし、帽子をかぶってこなかった。

今、サラリーマンの姿で外出する必要のなくなった今、帽子が必要なのかもしれない。盛夏に向かう梅雨の晴れ間、ひとたびドアを開ければ夏の熱気に押し戻されるように、とたんに外出がおっくうになる。せめてもの涼しさを帽子は被せてくれるのだろうか。

以前、窓口業務を行っていたときに中高年の帽子着用率が非常に高かったことを思い出す。ゴルフキャップだったり、麦藁帽だったり、ハンチングだったり、みんな帽子を被っていた。夏は、たいてい、帽子を脱いで、暑そうに扇子をあおいで額の汗を拭うのだった。みんな、判で押したように同じような仕草をするのを内心面白く思っていた。

私が被るとしたらどのような帽子にしようか。真夏、釣りの道具を揃えたので炎天下釣りに行きたい。その時に、自転車に乗りながら被る帽子。私は頭が大きいので帽子が全く似合わない。頭の大きな中年というより初老男性に似合う帽子。似合わなくても、変に見られない帽子。帽子を愛用するようになると、すっかり私も、中高年リタイヤ男性の仲間入りだ。帽子と扇子をセットに携え。

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