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ひとでなし

ひとでなし

ひとでなし
って
さらっとしているけれど
とんでもない言葉
人で
無し

かるく使われている
けれど
本当は
殺人鬼なんかに
使われるべき
ヒトデナシ
こう書いた方が
人外
感が出る

人外
ってのも
おなじような
言葉だね
ひとの
ほか

中井英夫の
小説で
知った
人外境通信
というやつ

何一つ内容
覚えてない
ひととき
どん嵌まり
したのに
近頃
中井英夫に関する
写真エッセイを
手に入れた

中井に興味がなければ
全く面白くもない

そういうものばかりで
成り立っている
誰かは好き
誰かはきらい
それがてんでにないまぜ

家の入口に
バラの
アーチがある
昔なら
薔薇と書いたな
文学かぶれで

家の全景は
わからない
でも
平屋に見える

昭和施工の
古い家
壁が
ラワンの板張り
茶色い板

晩年
男性と暮らしていた
その男性が
本を出した

眠る人への哀歌
という詩集もある
正直
ぴんと来ない

雪華舎
という出版社
夕映え少年
という作品集
雪華舎
くぐって出ない
雪華社かも
雪華社だった
夕映少年
だった

一応嘘を書きたくない
人に関して

眠り込むような
うつくしい
短編を一つ
書きたい

確か中井が
何かで言ってた

筒井康隆に
中井が言った
リラダン
好きでしょ

リラダン
読んだ
何一つ覚えていない
齋藤磯雄訳

ユイスマンス
読んだ
ジュリアングラック
読んだ
天沢退二郎訳
何一つ覚えていない
恩師が
あまたい
と仲良かった
不義理ばかりで
すみません

筒井康隆が
中井に言った
リラダン
読んでません

小説家に教養は
必要ないというけれど
と中井は言った
と書いてあるのを
読んだ

記憶の中を
引用してばかりいる
「引用」
して 作品を書く
ひととき すごく
流行ったな

近頃
またつながりがかすかにできた
田中さんが
全編引用の
詩集を出していたはず
田中さんとの
空白は三十年
その間の仕事だな

引用文と
その出典で成り立っている

いまのこの
書き方も
すこし
あつすけさんに
影響されてる

あと
鈴木志郎康
あと
つじさんやいまいさん

影響
影響
受けやすい

されやすい

根が
単純
気が向いたら
続きを
書きたい

文学について書くと
文学を
擬態できそうだ

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