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淡い

淡い

淡い、という言葉が好きだ。きっぱりとしていなくて、ぼんやりと靄や薄布を感じさせ。

淡い色と言えば何を指すだろう。桜の薄桃色などは淡い色の代表のような気もするが、まとまって花盛りになると余り淡さを感じさせなくて人がいうほどあの色の束は好きではない。と考えて、淡い色の花、思い巡らせて、特にぱっと思い当たる物がない。花の種類や名などに詳しくない。と梅の方が淡い色の花をつけるかと思い立った。

実家に隣接する空き地に梅の樹を植えた。それはベランダで育てていた樹だったのだが大規模修繕の時に実家へ持って行ったら父が勝手にそこに植えかえた。春先にその樹が花を付ける。何年かして育ちすぎ、ずたずたに切った枝の脇から細く分かれたいくつもの小枝がまばらに花を咲かせるのだった。

そういえば、春は全体に空気が淡い靄に包まれるような気がするのは、強い風に立つ埃のせいか、一枚一枚は淡い桜の花びらのせいか、寒い間地中で固まっていた水気が昇気するせいか。

その時期に知り合って淡く感じた人への思いが、秋口くらいには真っ赤に熟したり、逆に色を失せ無色になったりするのもまたよくあることだ。

そのほかに、最近、ラーメンの種類の中に「淡麗」というカテゴリがあるのを知った。淡いラーメン、淡い思い、淡い色、淡水、淡麗。食べはしないが淡水魚の地味な色合いも好きだ。

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