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十四年

十四年

十四年まえ、君はまだ私の陰嚢のなかに蔭形も存在していなかった。そしていま、君は陰嚢について学校で勉強をしている。それが試験に出て、その採点が君の将来を変えてゆく。君は勉強をする。私はそれを黙ってみている。ときおり、したり顔で口を挟むことはあるかもしれないが、君にいいかっこうをしたいだけだ。昔、学校で習ったことが実は誤りであったと判明して、それが修正されることがしばしば起こる。君と私が同じ問題で解答を違えるのはそういう理由もあるのだ。そこは分かってほしい。そして莫迦にしないでほしい。陰嚢同様傷つきやすいので大切にしてほしい。116

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