後悔
後悔
アメリカに行ったことがない。本土。
アメリカに行ってみたいと思うようになったのは投資を始めてからだ。資本主義の中枢に行って、その空気に触れてみたいと少しばかり思った。
同じように、以前はフランスに行きたかった。シュルレアリスムの中心人物、アンドレブルトンの墓を参ってみたかった。文学と言えばフランス、その中でも二十世紀の革新的潮流ダダ、シュルレアリスム。
それ以前はイギリスに行ってみたかった。独自の発展を遂げ、未だに世界に君臨し続けるブリティッシュロックの本場に。
身の回りにはイギリスに行った人も、フランスに出かけた人も、ニューヨーク証券取引所を見学してきた人も揃っていた。しかし、人づてに話を聞いてみるだけでは何もわかったことにはならない。わかったとして、それが本当にわかったことになるとも思えないし、雰囲気を感じ、自己満足し、すこし嫌な思いもしたりして別の国に出かけていくということが私の価値基準の中でどれほどのランクに位置するのかわからない。
時間だけはたくさんある。今は安くいこうと思えばいくらでも旅費は安くあげられる。後は一歩踏み出すだけだが何かと踏み出しを阻害する心の動きが持ち上がってくる。
いつかは行ってみたい。結局行かなかった。それもまたよくある人生の後悔の一つだろう。後悔することを恐れてもそれはそれでまったく自然な事だと。
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