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松本隆 風街オデッセイ第一夜(前半)

松本隆さん作詞活動50周年記念プロジェクト「風街オデッセイ2021」に行ってきました。令和3年11月5日と6日、会場は武道館。感想などつらつらと。

ギターのカッティング、イントロの1小節だけで体ごと持っていかれてしまう名曲が日本に2曲ある。そのうちの1曲、鈴木茂さんの「砂の女」でスタート。(ちなみにもう1曲は山下達郎さんの「SPARKLE」ね。)松本さんの50周年イベントのオープニングにこれ以上ふさわしい曲はない。朋友の林立夫さんを引き連れての演奏。かっこいい〜!煉獄さんよりかっこいいかも。そしてスライド・ギターが唸る「微熱少年」。そもそも鈴木茂さんのファーストアルバム「バンドワゴン」は・・・ハッ、いかんいかん。次々あとが控えているから脱線している暇はない。

続いて、はっぴいえんどの正統派フォロワー、曽我部恵一さんによる「夏色のおもいで」。チューリップのオリジナルに忠実なカウントやドンドコドラムに、厚みのあるホーンセクションも加わってゴージャスなサウンド。そう、今夜はお祭り、思いっきり楽しまなくては、と気持ちを新たにする。曽我部さんはこの一曲だけでステージを去る。

アグネス・チャンがシースルーの淡いピンクのドレスで登場し、「想い出の散歩道」と「ポケットいっぱいの秘密」を。声はもちろん、スクリーンに映し出される笑顔は当時のまま。アグネスの周囲だけ時が止まっているのでしょうか。「ポケットいっぱいの秘密」は裏打ちの曲にもかかわらず、楽しそうに観客に手拍子を頭打ちで煽り、そのまま強引に歌って風のように去って行きました。

「夏色のおもいで」と「ポケットいっぱいの秘密」は松本さんが作詞家に専念して最初に手がけた作品。次に関わったのが太田裕美さんということで、その順番に従って進みました。デビュー曲「雨だれ」と、エポックメーキングな「木綿のハンカチーフ」。もはや、裕美さんは松本さんの周年行事になくてはならない存在ですね。

森口博子さんが登場し、「三枚の写真」と「リップスティック」の2曲を披露。いやぁ、歌上手いなあ。4歳で歌手になりたいと思い、小学1年生でボイストレーニングを始め、その後さんざん練習したのが「三枚の写真」だったと。この日、武道館で歌うためにあの日々の練習があったのだ、という話が感慨深かった。おそらく、日本中全てのミュージシャン、この日武道館に足を運んだお客さん全員に「私と松本隆さんの出会い」という物語があるに違いない。無論、私もありますよ。それはですね・・・まあ、今はいいか。

小さな巨人、大橋純子さんが登場。「シンプル・ラブ」と「ペイパー・ムーン」を熱唱。風街バンドの演奏、大橋さんに負けじとパワー全開でした。当時、彼女のアルバムが何枚か家にあったなあ。バックバンドの美乃屋セントラルステイションのギターが土屋昌巳さんで、その後一風堂(ラーメン屋じゃなくて)を結成し、「すみれSeptember Love」(シャズナが後年カバーした)のヒットを飛ばし・・・いかん、また脱線しそうだ。

佐藤竹善さんが原田真二さんの「タイム・トラベル」を。しかし上手い人が続きますなあ。原田さんの作品はなんだかんだ言って、デビュー三部作とコレがダントツでいい。この路線を続けていて欲しかったなあ。(あくまで個人的な気持ちです。その後が好きな方、ごめんなさい。)竹善さんはこの1曲だけでおしまい。うーん、もったいない。

ここからしばらく50周年トリビュート・アルバム「風街に連れてって!」からの選曲になります。アルバムをプロデュースした亀田誠治さんと最初に登場したのが B’z です。演奏するのは桑名正博さんの「セクシャルバイオレットNo.1」。いや〜、いいもの見せていただきました。おそらく生涯最初で最後の生B'zでしょう。ヴォーカルもギターもキレッキレ。今まで名前だけしか知らなかったけど、やっぱり人気あるだけのことはあるなあ。カバーなのに、まるでB'zのためにある曲のようだった。これ1曲で全部かっさらって行っちゃった。なんでもギターの松本孝弘さん(まつもと・たか、まで同じですね)は、桑名さんのバックで当時ギターを弾いていたのだとか。いやはや。ちなみにこの曲は松本隆さんが初めて獲得したナンバーワンヒットでした。タイトルどおりになりましたね。

嵐のようなB'zの演奏のあと、やりにくいよねえ。だれもやりたくないよねえ。そんなだれもが尻込みする役割を見事にこなしたのが横山剣さん、「ルビーの指環」です。アレンジは原曲と変えていますが、寺尾聡さんの雰囲気を壊すことなく、それでいながら横山剣さん以外の何者でもない、という奇跡のような演奏でした。

「風街に連れてって!」のコーナー、最後の曲は川崎鷹也さんが歌う「君は天然色」。テレビでも見たけれど、あの声、あのルックス、あの立ち振る舞い。新しい才能って、どんどん出てくるんですねえ。うん、うん。

ところで、ここまでで15曲。あと15曲あるんですよ。一旦、ここで切って後半に続くことにします。

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