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Drペッパーに出会ったときの顔を

しばらくぶりにコーラを飲んだ。何年ぶりかな。最後に飲んだのはチェリーコークってやつだった。うまかったけれどコーラとは括りがたい印象だったね。その前に飲んだのはインカコーラというものだった。十年以上前だろう。あれは色も味もコーラ感がなかったなあ。考えてみると、本線のコーラはここ二十年ぐらい飲んでなかったりしてね。

今回飲んだのはコカコーラでもペプシでもない、復刻堂コーラという代物だ。一体何を復刻したのかはわからんけれども、私の頭の中のコーラのイメージとはいささか異なる味であった。こういうのもありだなと思えたけれども。というか、もう一度飲んでみてもいいな、ぐらいな気でいる。団地内の自動販売機に入っているのでいつでも入手可能なんだけどね。
そもそも定義としてはどうなっているんでしょうな。コーラと名のるにはこういう成分がはいってないとね、みたいな決まりがあるのだろうか。チェリーコークってやつなんてどちらかと言えば、Drペッパーに近いような気がしたよ。
あれも不思議な飲みものだね。ネイミングとしてドクターもペッパーもおよそジュースっぽくない。かえって印象に残るということは言えるけれども。あれが日本で発売されたのは小学校の高学年の頃だったと思うけれど、賛否がきっぱり分かれていた。うん。薬くせぇと言って拒否している友だちがたくさんいたよなあ。一口目には私の中にあったジュース感とあまりにもかけはなれていたもので強烈な違和感を持ったのはたしかだが、結果としてそこそこにはまってしまい、しばらくは愛飲することになったのだった。
最近は炭酸もののジュースをほとんど飲まなくなったけれども、中学生ぐらいまでは頻繁に手にしていたね。特に、サッカーの帰りにはみんなでわいわい言いながらいつも飲んでいたような気がする。ということは、ほぼほぼ毎日練習か試合があったわけだから、毎日飲んでいたのだろうか。そんなことあるわけないか。記憶が怪しい。
練習の帰りには瓶の自動販売機でチェリオを買うのが基本だった気がするな。安いのに量が多いという子どもらしい理由でね。本体に栓抜き用の口があるあの販売機、近頃はみかけませんな。もうどこにもないのかな。缶ビールより瓶ビールという人がいるように缶ジュースより瓶ジュースという需要も一定数はありそうなものだが。ニッチに過ぎるか。

あの時代に戻りたいなと語られるのをたまに耳にする。あるいは、あの時、別の選択をしておきゃよかったかな、というような文脈のものも。
実のところ、私はあまりそういう風に考えたことがない。映画を観たり小説を読んだりしているときには、ここではこうやった方がいいのにな、というような図々しいことを思ったりはするけれども。
自分の人生ということでいえば、特に戻りたい時代はない。別の道だってあっただろうと思うポイントはいくつもあるが、特に、どうのこうのとは思わないんだ。たいていのことに関して、ま、いいか、というような感覚が人生を通して私の中にある。ま、いいよ、次にいこうぜ、みたいな。まあ、そろそろ「次」なんてない年齢なんだけどね。
あの時代に戻りたいということはないんだけれど、たとえば、初めてDrペッパーを口に入れた時の自分の顔は見てみたいなとは思いますよ。むむむ、みたいな、意表をつかれたような面してたんじゃねえかなあ。そういうのって見てみたいよ。
自分の顔ってさ、実はよう知らんわけですよ。鏡の中の顔は自分が鏡を見ている顔でしかなくて、しかも左右反転している。いろいろと表情を作ってみたりしてみても、それは表情を作って鏡を見ている顔以外のものではない。わかりにくいんだよ、おまえさんの説明は、とおっしゃるか。まあ、そうなんだけどさ。
昔の姿だって写真で見られるじゃんって言われればそうなんだけれども、それもやっぱり写真に撮られている自分なわけですよ。撮られるときって100%フラットな自分じゃないじゃん。撮られる自分でしょ、ほとんどの場合は。携帯でじゃんじゃか写真や動画を撮る時代になったから、昔に比べればありのままの姿に近い形でとらえられることも多くなってきているとはいえ。
関係ないけど、「ありのまま」って言葉、ディズニー様の色が濃くついちゃったから、何だか使いにくくなったよね。
こんな由無事に脳みそがひっかかって残り多くはない人生の時間を擦りへらしているんだなあ。何やってんだろうなあ、おれ……なんてなことを考えているときの自分の「ありのまま」の姿をはたから眺めてみたいってことなんですよ、要するに。できれば、時代を超えてね。
タイムマシンか。タイムマシンだな、必要なのは。

ああ、そういえば、思いがけぬ形で自分の「ありのまま」の姿を眺めた経験があったな。ま、そのうちそのことも書くかな。書かないかも、だけれども。

なんてなことで、疲れてきたので今日はおしまい。バハハーイ!


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