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Chicago Booth Review: より良いサプライチェーンを構築するために①

専門家たちは、ポストコロナのサプライチェーンを描いています。しかし、それは私たちが必要とするすべてのものになり得るのでしょうか?

原文

https://www.chicagobooth.edu/review/how-create-better-supply-chain

序章

半世紀前、トヨタはサプライチェーンにおけるジャストインタイム戦略の先駆者であり、その創意工夫と効率性は高く評価されていました。ジャストインタイムのプロセスを導入したことで、企業は需要と供給を一致させ、必要な時にだけ商品を生産・受領し、在庫管理費用と無駄を削減することができるようになりました。

しかし、この2年間で、このような合理的な運営に伴うリスクが明らかになりました。ジャストインタイムを採用している企業は、小さな混乱にも脆弱である可能性があります。トヨタ自動車などは、2011年の東日本大震災で数週間のうちに生産台数が60%以上減少するなど、大きな混乱を乗り越えてきましたが、コロナによる長期の世界的混乱によって、ほとんどの生産者と同様に悲惨な状況に追い込まれました。(下記「COVID-19がサプライチェーンを破壊した」参照。)消費者は、自動車、ソファ、家電製品など、さまざまな製品の納期遅れを経験するようになりました。店舗では品薄と価格高騰に見舞われており、貨物船は港で荷揚げを待つばかりです。

本学のRené Caldentey氏は、「COVID-19のサプライチェーン危機は、効率へのあくなき追求がいかに信頼性を損ない、サプライチェーンがいかに混乱しやすいかを浮き彫りにした」と語りました。今、多くの企業がこの問題に取り組んでいます。トヨタ自動車もジャストインタイム方式から脱却し、9月には一部のサプライヤーに対し、半導体の保管期間を通常の3ヶ月から5ヶ月に延ばすように指示したと報じられています。

しかし、ジャストインタイムは、今日のサプライチェーンのパズルの一部分に過ぎません。電子商取引の爆発的な増加や、持続可能性へのニーズの高まりなど、企業はさまざまな要素を考慮して計画を立てなければいけません。「ジャストインタイムは非常にダイナミックなシステムで、常に進化を続けています」とCaldentey氏は言います。「このようなことは、これからも起こり続けるのです。」「多くの問題はCOVID以前にも存在していたけど、COVIDによって問題が顕在化し、指数関数的に影響が現れています。

専門家たちは、パンデミック後を見据え、危機管理を超えたサプライチェーンとは何かという核心に迫る大きな問いを考えています。私たちはサプライチェーンに何を求め、何を最も望むのかー企業は即日配送を重視すべきなのか、それともより環境に配慮する必要があるのかーサプライチェーンは災害に強いものであるべきなのか、それとも何よりも効率的なものであるべきなのかーより短い方がいいのかーより自宅に近い方がいいのかーより柔軟であるべきかーこれらすべてを同時に実現することはできるのでしょうか。

次回

次回は、『可視化する』をお届けします。

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