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便利屋玩具のディアロイド

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俺は誰のモノにもなる気はない、と玩具のロボットは言い切った。 全長15センチほどの玩具ロボット『ディアロイド』が普及した世界。 灰色のディアロイド・ボイドは、持ち主を持たず、子…
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#SF

【小説】便利屋玩具のディアロイド #01『ボイド』

 夕刻、空が紫に染まる頃。  古い雑居ビルに、二人の若い男が入っていく。  小ぶりなジュラ…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #02『彩斗』前編

【前回】 「うわ、こりゃ酷いな。何とやり合ったんだお前?」 「オオカミ型の改造ロイド四体…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #02『彩斗』後編

【前回】 「バトル、スタート!」  ゴゥン! 牛崎のスマホから試合開始の鐘の音が響く。 …

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #03『襲撃』前編

【前回】  警察に頼れ、と言うべきなのだ。  人間の命など、十五㎝の合成樹脂の塊には重す…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #03『襲撃』後編

【前回】 「クラッシュ!」  閃光が、爆ぜた。  剣の背から照射される熱線に、カマキリは…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #04『カブラヤ』前編

【前回】 「うん、無理!」  ボイドのフレームを目にした古部新矢は、笑いながら言い放った…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #04『カブラヤ』後編

【前回】  カブラヤの本社までは、電車で一時間ほどの距離だった。  社会人ばかりが歩くビジネス街を、彩斗はどことなく居心地悪げに歩いていく。  彼の肩に乗ったボイドは、周囲を警戒しながらも会社までの道を彩斗に教える。  やがて見えてきた巨大なビルに足を踏み入れると、瞬間、「わぁ!」と大きな声が響いてきた。 「ホントに来てるじゃん、久しぶり~!」 「……あれだ」  手を振りながら近づいてくる女性に、彩斗の肩に乗ったボイドが言う。  黒い髪を後ろで乱雑に括り、白衣の胸ポケッ

【小説】便利屋玩具のディアロイド #05『蝉麻呂』前編

【前回】  戦いは、ボイドのフレームを仮換装した後に行われた。  フットサルコートほどの…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #06『悠間』前編

【前回】 「起動完了! えーっと、聞こえますかー? 私のこと、分かる?」  その機械が起…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #06『悠間』後編

【前回】 「KIDOの人とも話したんだけどね」  病院の廊下で、境川星奈は抑えた声で話す。 …

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #07『引き金』前編

【前回】 「……だからね、見過ごせなかったんだと思う」  境川星奈は、そう言って語り終え…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #07『引き金』後編

【前回】 「彩斗、一旦下がれ!」  ボイドは剣の切っ先をウィリディスに向ける。  彩斗が…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #08『NOISE』前編

【前回】  ディアロイドがディアロイドとなる以前。  KIDOコーポレーションによる小型ロボ…

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【小説】便利屋玩具のディアロイド #08『NOISE』後編

【前回】  結論から言えば、彩斗の予測は的中していた。  地元で密かな噂となっている幽霊ビル。誰もいないはずの建物からは、微かに小さな足音や駆動音が響いている。 (といっても、最初から気にしてなきゃ分からないレベルだが)  自分一人では、ここまで早く場所の特定は出来なかっただろう。  彩斗に感謝しつつ、ボイドは暗いビルの周囲を歩き様子を伺う。  ドアは当然ながら閉まっていた。が、換気扇の排気口に、よく見ると何かが出入りしたような細かな傷が残っている。NOISEはここから出入