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建設業の NEWS TOPICS(2024.1)

1日  能登半島地震が発生/官民一丸で被災地の復旧支援
 石川県内で最大震度7の揺れを観測した能登半島地震が1日夕にあり、建物の倒壊や火災のほか、道路や水道などインフラにも甚大な被害が発生した。国や自治体が中心となって被災者らの救命・救助を急ぐとともに、被災したインフラの応急復旧を推進。国土交通省は各地方整備局がテックフォース(緊急災害対策派遣隊)を現地に派遣し、被災状況の調査や復旧作業を進める。建設関連の企業・団体も支援要請や災害協定などに基づき、被災地支援に乗り出していた。
5日  総合工事業325者に注意喚起/公取委、優越的地位乱用調査
 独占禁止法に基づく「優越的地位の乱用」の取り締まりを強化している公正取引委員会は、総合工事業など39業種を主な対象としたコスト上昇分の価格転嫁に関する特別調査の結果を公表した。総合工事業では書面調査に回答した2656者のうち325者に注意喚起文書を送付。元下間の価格交渉の場で協議せずに工事単価を据え置く行為などを確認した。公取委は総合工事業で価格転嫁が円滑に進んでいない背景を分析する中、多重下請構造の存在を指摘した。
9日  市区町村で改善の動き遅く/国交省調査、予定価格と工期適正化
 公共工事の適正な予定価格と工期の確保に向け、市区町村で一層の取り組みが必要な実態が明らかになった。国土交通省の調査によると、予定価格の積算時に使用する資材単価を最新の物価資料に基づき全資材の単価を毎月更新している団体は約7割で、1年前の調査時点とほぼ同水準。時間外労働の罰則付き上限規制の適用を踏まえた工期を設定している団体は約3割に過ぎなかった。物価変動や上限規制という建設業が直面する喫緊の課題への適切な対応が各団体に求められる。
11日  作成・使用済み21団体に/国交省調査、安全衛生対策の確認表
 国土交通省は建設工事の安全衛生対策項目の「確認表」の検討・作成状況をフォローアップした。2023 年12 月時点で作成済みは14 団体。この3カ月で足場や左官などの工種の4団体が新たに作成した。確認表は各専門工事業団体が工種ごとに作成し、必要な安全衛生対策をチェックし、元下間でどう実施・費用分担するか認識を共有するのが目的。安全衛生対策に関する元下間の認識のズレを解消し、安全衛生経費の適切な支払いにつなげる。
12日  激甚災害に指定、補助率引上げ/政府、能登半島地震で対応
 政府は能登半島地震を地域を限定しない激甚災害「本激」に指定した。地方自治体のインフラ復旧事業に対する国の補助率を引き上げ、早期復旧を後押しする。岸田文雄首相は、同日に開いた政府の非常災害対策本部の会合で「暮らしの再建に向けて被災自治体を支援していく」と強調した。
15日  「働き方改革応援宣言」発表/全建協連、勤務間休憩など重点支援
 全国建設業協同組合連合会は中長期視点で働き方改革を後押しするための政策提言「三つの応援宣言」を発表した。4月の時間外労働上限規制適用後も想定し▽勤務間インターバル制度の活用▽男性技術者の育休取得率向上▽女性の再就職―の三つを重点的に支援。発注者にはこれらの取り組みをより強力に後押しするための制度設計を求めていく。提言に基づく働き方改革の実現により、若者から選ばれる持続可能な建設産業への変革を目指す。
15日  民間分野の着工控え懸念/建設経済研ら、24年度建設投資
 建設経済研究所と経済調査会が建設投資予測の最新推計を発表した。2023年度の投資総額は名目値で前年度比4.6%増の71 兆9200 億円、24年度は0.7%増の72兆4100億円と試算。物価変動の影響を取り除いた実質値で見ても、対前年度の増減率は23年度が2.1%増、24年度が0.1%増と堅調に推移する。ただコスト高を背景に住宅着工は抑制が続き、企業の設備投資意欲が旺盛な割には非住宅分野の建設投資も低調。特に民間分野で住宅・非住宅ともに新規着工を控える動きが出ていることを先行きの懸念材料に挙げる。
17日  総請負額5.4%増/3保証会社、4~12月取扱実績
 公共工事前払金保証事業会社3社(東日本建設業保証、西日本建設業保証、北海道建設業信用保証)がまとめた23年度第3四半期(23年4~12月)までに前払金保証を扱った工事などの総請負金額は前年同期比5.4%増の11 兆6511 億円となった。国を除く発注機関が軒並みプラスとなった。保証の取扱件数は0.4%減の18 万5651 件、保証金額は4.1%増の4兆5232億円となった。
17日  23年度内に事業許可取得へ/高速道路5社、更新計画を公表
 2014年7月に始まった道路の定期点検結果を踏まえ、高速道路5社が作成した新たな更新計画の概要が明らかになった。東日本、中日本、西日本の高速道路会社3社は計1兆0004億円をかけて512キロを更新。首都高速道路会社は21.6キロに3056億円、阪神高速道路会社は22.4キロに2169億円を投じる。24年度の更新開始に向け、23年度内にも国土交通省から事業許可を受けたい考えだ。 
18日  書類作成の工期付与を検討/西日本高速ら、働き方改革の対応
 西日本高速道路会社は東日本、中日本の高速道路会社2社と共同で、4月からの時間外労働の上限規制適用を踏まえ、建設会社の働き方改革を後押しする施策を全面展開する。工事関係書類の削減や簡素化を図り残業時間の削減につなげてもらう。設計変更時などに迅速に意思決定するルールや、書類作成のための工期の付与も検討する。3社は近く施策をまとめ4月から運用する。
18日  資材価格指数、前月から上昇/物価調査会、経済調査会の調査
 建設物価調査会と経済調査会はそれぞれ実施している「建設資材価格指数」の直近の2023年12月調査の結果を公表した。建設物価調査会の建設総合の全国平均値は前月比0.7 ポイント上昇の「136.0」。8カ月連続で最高値を更新。経済調査会の指数は建築・土木総合で前月比0.2ポイント上昇の「153.2」。コンクリート関連は生コンや二次製品が各地で上昇した。
19日  建設業の死亡者数24.6%減/厚労省速報、23年労災発生状況
 厚生労働省は2023年(1~12月)の労働災害発生状況調査結果(速報)を公表した。休業4日以上を伴う建設業の死傷者数は前年比0.3%( 36 人)減の1万3323人だった。うち死亡者数は24.6%(65人)減の199人。全産業の死亡者数に占める建設業の割合は29.4%で最も高かったが、前年比は8.0ポイント改善した。
26日  業法・入契法改正案提出へ/通常国会開、58本の法案を提出
 政府は開会した通常国会に58本の法案を提出する。目玉は5年ぶりとなる建設業法と公共工事入札契約適正化法の一括改正案。中央建設業審議会と社会資本整備審議会合同の基本問題小委員会が昨年9月にまとめた提言に基づき、建設業従事者の処遇改善や働き方改革を促進するため法律で対応すべき事項を措置。受注者の建設業者による通常必要な原価に満たない請負金額や著しく短い工期での契約締結の禁止などを打ち出す。法務省は3月中旬にも出入国管理・難民認定法と技能実習法の一括改正案を提出する。

[全建ジャーナル2024.2月号掲載]

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