保険は掛け捨てが正解なのか?

最近ネット上では「保険は無駄」「貯蓄型の保険を解約しました!」なんて論調が流行りですが、本当でしょうか?実際に数字で検証してみましょう。

ただし、今回の数字は現在加入するとすれば、という過程です。実際に見直し等をするときはきちんと信頼できるプロフェッショナルに相談しましょう。「今の保険を解約してまで…」なのかどうかは残りの払い込み期間や、いつ加入したか等で変わってきますのでお気をつけを。

もちろん相手も売るのが仕事です。そこを頭に入れて「売りつけ」られないように気をつけましょうね。

試算条件

まずは保険加入する人の条件です。

・35歳

・男性

・65歳までの保証

・死亡保険金は3,000万円

私は必要な時に必要なだけ保険を用意する、のが正しいと思っています。養う家族がいて、万が一の時に貯蓄で賄えない貯蓄を減らすのが嫌、という人が保険に入るべきだと思います。そう考えた時、養う家族がいるのはまだまだ男性のほうが多いと思うので男性。そして働き盛り、保険のことを考え始める35歳、一つの目安として3,000万円(これだけ有れば十分、と言うわけでは全然ありません)として見てみます。

終身保険

では掛け捨ての保険と対極にある終身保険を見ていきましょう。利率が良い時にはみんなこぞって「貯金代わりに」と加入していた保険です。

死亡保険金 3,000万円

保険料 86,370円/月

総払い込み保険料 3,109万円

65歳時解約返戻金 2,786万円

65歳時解約の損益 -323万円

いかがでしょう。驚くのは、もし65歳までに亡くならなければ、「払った保険料よりももらう保険金の額のほうが少ない」ことです。解約返戻金ではなくて、保険金です。保険料全額払ってしまうとどんな状況でも元を取ることはできません。今の金利状況では特殊な例を除いて終身保険は選択肢に上がらないのではないでしょうか。

65歳までの定期保険

終身保険の真反対に位置する保険。個人でこのタイプの保険に入ってる人は少ないかもしれません。中途半端なんでしょうね。これはこれでいい保険だと思います。

死亡保険金 3,000万円

保険料 12,240円/月

総払い込み保険料 440万円

65歳時解約返戻金 0万円

65歳時解約の損益 -440万円

35歳から10年定期で更新

悪名高い10年定期。コンサル型の保険屋さん(初心者)が目の敵にする保険。昔は終身保険にこれを合わせて説明がされずに契約させられているのでとても損した感じ(更新の時に倍になる)になっていました。中身がわかっていればとても合理的な保険であると思います。

死亡保険金 3,000万円

保険料 6,390円/月(~44歳)

11,130円/月(~45歳)

21,450円/月(~55歳)

総払い込み保険料 468万円(77万円+134万円+257万円)

65歳時解約返戻金 0万円

65歳時解約の損益 -468万円

確かに計算してみると保険料は10年で倍近くになりますね。

変額養老保険

終身保険が貯蓄代わりに使えなくなった現在、代わりに盛んに販売されているのが変額保険です。変額養老保険のほかに変額終身保険、変額年金保険等があります。運用の投資信託の上に保険(終身保険、定期保険、年金保険)が乗ってるイメージです。投資信託は自分自身で選び、その運用結果は自分で責任を負います。つまり保険会社が運用を保証してくれるわけではないのです

死亡保険金 3,000万円

保険料 70,260円/月

総払い込み保険料 2,529万円

65歳時解約返戻金 4,923万円(保険会社の設計書の一番良い利率5.5%で計算)

65歳時解約の損益 2,394万円

単純な結果

いかがでしょうか?35歳から65歳まで同じ保険金3,000万円で単純に比較すると

変額養老保険>終身保険>65歳までの定期保険>10年更新の定期保険

となりました。ではこの結果だけで考えていいのでしょうか?

運用をプラスすると

変額保険は上に書いたように契約者が責任を負って運用する部分と、保険の部分とを合わせて販売している保険です。となると、運用する部分がない保険はそれを合わせないと評価に公平性が欠けることになります。

では運用をプラスすると果たしてどのような結果になるのでしょうか。

変額保険と定期保険を比べてみましょう。(終身保険はこの際除外します。結果を見れば一目瞭然でしょう)変額保険がたまたま7万円なのでこれを基準とします。

・7万円と保険料の差額は積み立てて運用すると仮定する

・運用利回りは変額保険の最高想定5.5%とする

変額保険の利回り5.5%は運用の利回りを指しません。保険の部分の費用を差し引いてますので、単純な5.5%運用とならないわけです。外貨建ての予定利率○○%も同じなので注意が必要です←一般の消費者にわかりづらいとして再三金融庁から指導の入った部分です。

結果(運用)

65歳までの定期

 ・積立額 7万円ー1.2万円=5.8万円 

      5.8万円×12ヶ月×30年=2,088万円

 ・運用成績 5,192万円

 ・損益 3,104万円

35歳から10年定期で更新

 ・積立額 2,052万円

      35歳~44歳 7万円ー6千円=6.4万円

      6.4万円×12ヶ月×10年=768万円

      45歳~54歳 7万円ー1.1万円=5.9万円

      5.9万円×12ヶ月×10年=708万円

      55歳~64歳 7万円ー2.2万円=4.8万円

      4.8万円×12ヶ月×10年=576万円

 ・運用成績 5,340万円

      45歳まで1,018万円(元本0円、6.4万円積立て)

      55歳まで2,678万円(元本1,018万円、5.9万円積立て)

      65歳まで5,340万円(元本2,678万円、4.8万円積立て)

 ・損益 3,288万円

運用ー保険料(損益)

変額養老保険

2,394万円のプラス

65歳定期

3,104万円ー440万円(保険料)=2,664万円のプラス

10年定期

3,288万円ー468万円(保険料)=2,820万円のプラス

まとめ

いかがでしょうか。保険会社任せにせず、自分で運用するとこんな結果になります。

10年定期(2,820万円)>65歳定期(2,664万円)>変額保険(2,394万円)お金に旅をさせよく

2,500万円前後の利益の中で500万円弱の差を大したことないととらえるのかどうか。もちろん解約した時の税金の問題、自分でやることの面倒さ(とは言え変額保険は自分でポートフォリオを組むのです)、等等あるのでどれを選ぶのかはあなた次第。ただし、この計算結果を踏まえたうえで納得して選びたいですね。

もちろん保険会社によって中身の数字はそれぞれ違うのでご承知ください。傾向はおそらく変わりません。

ちなみに医療保険やがん保険は掛け捨て一択でしょう。

40代、50代でも積立て投資は間に合います。何せ人生100歳時代なのですから。

お金に旅をさせよう

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