人生のピーク

「人生のピーク」って何だろう?と思いませんか?
自分が1番輝いていた時期なのか、自分の中でいちばん楽しかった時なのか、何かで結果を残した日なのか。
例えばそれが「結果の日」だとすれば、私は吹奏楽で全国大会に行った中学三年生と、地上波に出て喋っていた日になる訳なのですが、私にとってのピークって現状そういうのじゃないなと思っているんです。

じゃあ私の人生のピークって一体いつなの?ってなりますよね。
勘のいい方はもう察しているんじゃないですか?
そうです、私の人生にいちばん深く関わりを持っているもの。
やって参りました、"好人(はおんちゅ)"の時間です。
私の人生のピークはそう、今年の誕生日なのです。



私は毎年誕生日、当日とその翌日を開けておく。
これは、万が一誰かに祝われる事があった時、全力で楽しむ為のいわば予防線だ。
しかしながら毎年毎年、結果は惨敗。お祝いメッセージは来るものの、誰かにサプライズをされたりだとか、ちゃんと祝われるということは本当に無いに等しい。

17の頃に付き合っていた10個上の彼氏(犯罪)がドライブをしながらプレゼントを小出しに3つくれた事があった。私の誕生日史上1番祝われた記憶はこれだ。(幼い頃家族に祝われたものは抜きで)
ちなみに2番目は、カラオケでバイト先の先輩たちに貰ったモエシャンをひと瓶一気飲みさせて頂いた時。あれは死んだと思った。

いや別に。別にそんなに盛大に祝ってくれと言っているのでは無い。
でもちょっと、スニーカー貰ってる人のストーリーとか、部屋まるまる飾り付けて祝ってもらってるストーリーとか、彼氏に旅行に連れて行ってもらってるストーリーとか、サプライズディズニーチケットのストーリーとか、(ry
そういうのがちょっとだけ羨ましいと思ってしまっているだけ。私はそういうキラキラした生き方をしていなかったのでそれ系の友人は居ないし、別に「やりたい!」と自分から思う訳では無いので全然羨ましいの範疇でしかないのだ。
が、だが、しかし。
ここ数年の私の誕生日はあまりにも酷かった。
社会人時代には「誕生日だからって」という枕詞を付けていつもより怒られるし、前日に彼氏に振られるし、そこまで仲良くない友人の吐瀉物を処理したし。
散々すぎる。いくら何でも、散々だった。
と言うか、彼氏に誕生日を祝ってもらったことが人生で1回ってどういう事なんだ。
元彼の人数と余りにも掛け離れている。彼氏の誕生日を祝ったことは4度程あるのに。祝われていない。どういう事なんだ、マジで。

以上の事柄を踏まえた上で、今年の24回目お誕生日を迎えた訳だ。
ちなみに今年の誕生日は10時〜22時まで仕事関連で拘束されることが決まっていた。
数ヶ月前から確定していた事象なので仕方がないが、ここ数年と同じように大人しく散々な日を過ごそうと思っていた。
そんな時だ。

『誕生日なんかすんの?』

と。コレ、誰からのメッセージだと思います?
落ち着いて聞いてください、ふう。
そうです、あの、これ好人から届いたんです。
この時点で私的にはかなりアガっていました。
何故かって、私の誕生日が近いことを好人が把握していたから。
しかし私は誕生日当日10-22拘束。

「すみません、その日22時まで仕事でして…」

『めっちゃ忙しいやん!
でも場所近いんやね。
終わったらご飯行けたりする?』

はい??????
22時以降…?そんな遅い時間から…?疲れてるだろうに…?私の誕生日だから…?時間をくれる……?


「え、え、貴重なお時間頂いちゃっていいんですか????」

『いいよ!いこ!!
店取っとくわ、23時予約でいける?』


馬鹿になっちゃう………(大号泣)
もう幸せなんですよ私。
私のために、好人が、動いてくれる。
私が誕生日だから。私だけのために。
愛が水だとしたら、デカ湖を自作した上で溺れて死んでいます。

もうこの、誕生日ご飯決定時点でかなり、かなり幸せで。
10-22が無いものとして当日を過ごすことになった訳なのですが。


迎えた誕生日夜、好人の家のチャイムを鳴らすと入口までパタパタと走って来る音がして扉が開く。

『お誕生日おめでとうね!』

出迎えてくれた好人のチャーミング過ぎる笑顔で一日の疲れが全て吹き飛んでしまった。

『ほんまはプロポーズするんか?ってくらい良いとこ行こうと思ってたんやけど、時間的に空いてなかったんよ。
という事で、質より量。食べ放題です。』

私が何をしたら喜ぶかを分かられてるみたいで心がふわふわしてしまう。
すこしゆっくりしてから予約してくれていた店へと足を運ぶ。
チョイスは完璧だ。私は3本の指に入るほどもんじゃ焼きが好きなのだが、どストライクの鉄板焼き屋さん。
普段お酒を飲まない好人が私のために飲み放題プランにして一緒にビールを飲んでくれた。本当に思うが、なぜこの人は私の小さなツボ全てを外さず押して来るんだろうか。

注文する内容しかり、好人の食べっぷりしかり、全てが私の好みである。
色々なメニューを見て終盤にアイスクリームを注文したら、『お家にアイス買ってあるから控えめにな』との事。
私が来ると思ってアイス買ってくれてる好人、尊い存在過ぎる。


たらふく食べて外をゆっくり散歩しながら家に帰る。横に好人が居る世界線の幸せに浸りながら歩く道は、いつもより彩り豊かだ。

家に帰って交代でシャワーを浴びた。
テレビを見ながらゆっくりしていると、突然部屋の電気が消える。
間違えて消しちゃったのかな、なんて考えていたら、すりガラスの引き戸の向こうでぽやっとオレンジ色の光が見える。間接照明でも購入したのかな?

ガララっとドアが開いた。
一瞬、私の思考が全て止まった。

『はーい、お誕生日おめでとう〜』

1番好きな声で歌われる適当なバースデーソング、手に持っていたのは、ケーキだった。
電気を間違えて消したわけじゃない、間接照明でもない。
私の、バースデーケーキに刺さった蝋燭の明かりだったのである。


いつ買ったの?用意しておいてくれたの?全然気づかなかった、そんな素振りひとつもしてなかったじゃないか。ズルいよ、こんなの。

その場で泣くのは流石に重い女だと思われると思って堪えたが、嬉しさと驚きとあまりの感動とで全身がぶわっと熱くなった。泣いてしまうよ、こんなの。


大きなホールケーキを2人で食べた。
買ったばかりのゲームで遊んで、電気を消して布団に入る。

こんなに幸せなことがあって良いのだろうか。幸甚の至りだ。恐悦至極、という言葉があるが、"悦びが限界まで登り詰めると恐くなる"という漢字が余りにも当てはまっていた。
夢の様な1日だった。まだ現実では無いのではないかと錯覚する程の、喜悦。
福徳円満の人生。全て全て、あなたのお陰で。


大好きな人と、泣いてしまう程尊い時間を過ごした24歳の誕生日。
私の人生のピーク、人生最高の日。
嗚呼、大好きだな、大好きだなあ。

一生忘れない思い出。
大切に大切に、心の宝物入れの中に保管しておこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?