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  • 新しい働き方のワナ

    政府は「新しい働き方」は「多様」で「自由」っていうけれど、本当?? 「新しい働き方」にひそむワナを、労働組合的にあばいていきたいと思います。 コロナ禍の中、働く人が一方的に不利な労働条件を突きつけられ、問題解決の手段として労組が見直されています。 労働組合でつながって、自分らしい「新しい働き方」を見つけましょう。

最近の記事

独立して会社と業務委託契約で働くように言われている

⇒「君もそろそろ独立したら?個人事業主になれば経費も落とせて収入が増える」などと持ち掛けられても、安易に乗らないように気をつけましょう。 会社から「安定して仕事を出すから」と安心させられた上に、事業所得で確定申告し、特別控除や関連費用の必要経費を落として…などとメリットを伝えられるかもしれませんが、労働契約に比べ、デメリットも多々あります。 まず、会社が負う使用者としての責任はなくなります。労働関係法令上の保護はなくなり、報酬に対しては、最低賃金の規制も適用されません。解

    • 仕事でコロナに感染したのに会社が労災申請をさせてくれない

      ⇒会社が対応しない場合でも、労働基準監督署に行き、労災保険給付の請求(労災保険法12条の8第2項)をしましょう。 その際、「事業主が労災の証明を拒んだため、証明がないまま請求書を提出するが受理していただきたい」旨の文書を添えて提出します。 業務中に発生した災害については「労災」と認定されると、労働者災害補償保険法(略称「労災保険法」)に基づき、医療費や休業補償を受けることができます。労災保険は国の強制保険なので適用されない会社は原則としてありませんし、コロナの感染による労災

      • コロナを理由に仕事をキャンセルされた

        ⇒契約通りの報酬を求めましょう。また、コロナ禍に関してフリーランスで働く人を支援する国の制度も活用できる場合がありますので、検討しましょう。 労働契約を結んで働いている場合であれば、約束した仕事のキャンセルに対しては、賃金の100%を請求することができますし、少なくとも、労働基準法第26条の「休業手当」の支払いについては、賃金の60%以上を払うものとされています。 ただし、フリーランスで仕事をしている場合、労働関係法令は適用されず、補償の範囲は、当初交わした契約の取り決めに

        • 会社が副業や兼業を推奨、指示している

          ⇒要注意です!労働条件の改悪(不利益変更)やリストラ、違法な業務命令の懸念があります。 コロナ禍で、収入が減ったなどの理由で副業を希望する人が増えていると言われます(※1)。就業時間外に何をするかは、労働者の自由です。企業秘密をライバル企業にもらすなどの恐れがない限り、副業の権利は認めるべき、との裁判例もあります。   しかし、会社が副業を推奨し始めたら、要注意です。「経営が大変なので賃金を下げるかわりに、その分を他の会社で働いて稼いでほしい」ということであれば、労働条件の

        独立して会社と業務委託契約で働くように言われている

        • 仕事でコロナに感染したのに会社が労災申請をさせてくれない

        • コロナを理由に仕事をキャンセルされた

        • 会社が副業や兼業を推奨、指示している

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        • 新しい働き方のワナ
          8本

        記事

          担当業務が必要なくなったから解雇するといわれた

          ⇒「辞めるつもりはありませんし、解雇は受け入れられません」と会社に伝えましょう。 会社は労働者を自由に解雇することはできません。客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効です(労働契約法第16条)。 業績悪化や、担当している業務がなくなったなどの経営上の理由による解雇は、「整理解雇」と呼ばれ、解雇が有効とみなされるには、4つの要件が必要です(これは過去の多くの裁判の積み重ねから確立された要件です)。 ① 人員削減の必要性があること ② 解雇を

          担当業務が必要なくなったから解雇するといわれた

          勤務が減らされ、収入が激減。休業手当も支払われない

          ⇒減らされる前の勤務に対して支払うことが約束されている賃金を請求しましょう。会社が払わない場合、国が休業手当相当額を払ってくれる「休業支援金・給付金」制度もあります。 コロナ感染拡大の防止や顧客の減少等を理由として、会社が休業を判断した場合、使用者の責任において賃金の全額の支払いを求める権利が、あなたにはあります(民法536条2項)。会社の経営状況が厳しいなどの理由があろうとも、会社には少なくとも労働基準法26条に基づいて「休業手当」として、賃金の60%以上を支払う義務がか

          勤務が減らされ、収入が激減。休業手当も支払われない

          在宅勤務の機材や通信・光熱費が自己負担

          ⇒ 会社に相応の負担額を求めましょう。 これまで会社負担だった費用を、就業規則の改定もなく、在宅勤務と引き換えに個人負担にするのは、労働条件の一方的な不利益変更にあたります(労働契約法第9条)。ただし、労働基準法には、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合」は就業規則に定めなければならないとの規定(第89条5号)があり、就業規則に定めがあれば、自己負担とすることも違法ではありません。 コロナ禍への対応として、就業規則の変更をして経費を労働者負担としたと

          在宅勤務の機材や通信・光熱費が自己負担

          残業しているのに、残業代が支払われない

          ⇒労働時間の実態を記録し、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた分の残業代(割増賃金)の支払いを求めましょう。 残業代不払いは違法です。テレワークでも、労働基準関係法令は適用され、会社(使用者)は、労働時間を適正に把握・記録し、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働には、通常の賃金よりも高い「割増賃金」を支払う義務があります。会社の指示で長時間働いた場合は当然のこと、具体的な指示がなくても、多くの業務を与えられたり、短い納期や〆切のために深夜まで働いた場

          残業しているのに、残業代が支払われない