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【紀行】三瓶姫逃池(大田市)

親三瓶の北の麓一帯は池の中心にして、なだらかな起伏で美しい草原になっており、長者ヶ原と言われていた。その池の近くに大きな長者屋敷があり、長者の一人娘でお雪という可憐な娘がいた。お雪はこの屋敷の前を、焚き木を背負って通る若者に、いつしか恋をする様になっていた。

《 石見多根神楽演目『姫逃池』より 》
一面、蓮葉が覆っておりました

その頃近くの野伏ヶ原に、村々を荒しまわる山賊の頭は、お雪を妻にと要求したが、長者に断られた事に腹を立て、お雪を奪う為屋敷に押しかけた。それを知った若者は、一人で山賊に挑んだが、追い詰められ池の辺で遂に切り捨てられる。お雪をそれを見て悲痛に叫び、池に身を投じた。

《 仝上 》
ちなみに『姫逃池』は「ひめのがいけ」と読みます

山賊が勝ち誇る中、若者とお雪は古くからこの池に住む龍神の力を借りて無念を晴らし、二人は結ばれ、燕子花(かきつばた)となって長者ヶ原を今も見守っているという悲恋の物語である。

《 仝上 》
群生の見頃は05月中旬~下旬。
紫色の燕子花が『お雪』さんで。
寄り添うように白い燕子花が『若者』なのだそうです
姫逃池から親三瓶を望む。

花びらの中央に白い筋があるのが燕子花(杜若)ということで、05月半ばから池畔・自生群落を楽しむことが出来ます。

管理も大変だとは思いますが、ご当地によらず燕子花は島根県(指定?)の天然記念物ということで。撮るのはいいけど、採るのは御法度。当日、池のまわりのベンチにて花見旁々の方がおられました。

昨年まではおそらく、飲食禁止だったんでしょうが。少しずつ緩んでいるイメージが致します。(罹患者数は緩んでないんですけどね)

のどかな昼下がりでございました。

龍神様に合掌。