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ワインは飲むものじゃない

スペイン南部、ある田舎町のワイナリーを訪れた。ちょうどランチタイムで、オーナーと試飲しながら食事をいただいた。オーナーは自慢のワインについて、その特徴や製造方法について説明してくれる。ただし当方は頷きながら話を聞くものの、微妙な違いがなかなか理解できない。ワインも食事も美味であることは確かである。それは間違いない。


ワインの知識に欠ける日本人を見かねたのか、オーナーはこう言った。
「ワインは飲むものじゃない」

すでに赤ら顔で、ずいぶん飲んでいる彼の言い分である。
食事のときに、もっとも重要なことのひとつが家族や仲間たちとの会話である。ゆっくりと時間をかけて、美味しいものを楽しみながらコミュケーションをとることだ。そのときに舌を滑らかにするために、ワインを舐める。けっして流し込むものではない。
「飲むものじゃなく、舐めるものがワイン」

美味しい食事、もしくは心のこもった食事。そして美味しいお酒。ゆっくりと味わう。大切にしたいと思う。

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