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世界で一番病んだ公園・前編

アユタヤから帰ってきた私は、ヤワラートへ直行した。

フワランポーン駅のすぐ近くは、先日カオスを体験したチャイナタウン、ヤワラート。
昼はおばあちゃん娼婦がたくさんいたが、夜は果たして?肝試し感覚で訪れてみた。そして、この旅で最もディープな夜が始まる。

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(画像は昼に撮影したもの)

ネットでは、すでにこの辺りには娼婦はいないという情報もあった。若い娼婦がいないという意味かもしれない。

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娼婦が集まるのは、ラーマ4世通り(青線)から7月22日ロータリーの間のエリア。
一帯は元々は安宿街で、かつては日本人観光客がここでマリファナと少女買春に溺れていた。7月22日ロータリー、通称ジュライロータリーのある広場は、その背景から『世界で一番病んだ公園』とも言われる。

この通りを歩いてると、さっそく声をかけられた。

ジャイアン母「お兄さん、一発300バーツ(1080円)だよ」

髪型といい、服装といい、体型といい、あらゆる面でジャイアンの母ちゃんにソックリなおばちゃんに腕を掴まれた。

「どうだい?」などと同意を求めてきたりはしない。腕を掴まれたら交渉成立と言わんばかりに、そのままヤり部屋に引き込もうとしてくる。

全力で抵抗するも、普通に力負けしそうになる。ストップ!と絶叫すると、おばちゃんはピタッと静止した。

あまり英語が通じなそうだったので、翻訳アプリでの会話を試みる。すぐに逃げるべきなのだが、何故かジャーナリズム精神が燃えてきた。

私「母ちゃん、何歳だ?」

ジャイアン母「42歳だよ」

普通、こういう仕事をしていたら年は若くサバを読むものだと思っていたが、リアルな年齢を教えてくれた。

私「子どもはいるのか?」

ジャイアン母「21歳になる娘がいるよ」

私「ジャイ子は働いてないのか?」

ジャイアン母「!!!! 娘にこんなことやらせる母親がいるかい!!!!(ガチギレ)」

ジャイ子も娼婦してるのか?という意味にとられたらしく、本気でキレられてしまった。

ジャイアン母は、一瞬だけ優しい母親の顔を見せた後、すぐに娼婦モードに戻って腕を掴もうとしてきたので、私は「sorry」と言って逃走した。


とてもジャイアン母と一戦交える気はないが、40代がいるのなら普通にイケる年代の娼婦もいる気がする。

ロータリーに向かって前進していると、妖しいお店を発見し、入り口から数人のエロい格好のねーちゃんたちから手招きされた。
ジャイアン母やおばあちゃんが立ちんぼ娼婦が徘徊してるこのエリアだと、ちゃんとした夜の店が超健全に見えてくる。
日本でも夜の店なんて利用したことないが、今なら軽いノリでこういう店に飛び込める気がした。



ロータリーに近づくにつれ、一人でボーッと立っていたり椅子に座っている不自然な女性の姿がやたら目につくようになった。
間違いなく彼女らは娼婦だろう。
年もそれなりに若い人が多い。

今度は自分から女性に声をかけてみた。小柄で、パッと見は10代でもおかしくないくらいだ。そんなに若い女性がいるなんて…アングラ度が一気に高くなった。

私「ハロー」

歌丸「?」

しゃがみこんでいた歌丸は顔を上げた。10代は若く見積り過ぎた、実際は30代くらいだろう。
顔が歌丸師匠によく似ている。服装はみすぼらしいし、化粧をする余裕もないのだろう。

私「年齢は?」

歌丸「35。部屋代は120、一発400バーツだよ」

私「外国人ってよく来るの?」

歌丸「全然。あなた中国人?」

私「日本人だよ。日本人も来ない?」

歌丸「見たことない」

私「そうなんだ。またね」

今ではもう日本人が立ち寄りすらしない場所になってるようだ……。
ロータリー周辺はこれといって観光できる物もないし、ヤワラートを訪れる観光客はみんな中華街の雰囲気溢れるラーマ4世通りをメインに訪れるのだろう。

歌丸師匠に別れを告げると、今度は二人組の娼婦から声をかけられた。

娼婦は基本ソロ活動なのだが、この二人は友達同士のようだ。年齢もかなり若そうだ。
ダウンタウンの浜ちゃん似のねーちゃんが積極的に絡んできた。英語ができないらしいので、翻訳アプリを使うためにスマホを取り出すと、二人は「おおおお!!!」っと大興奮していた。若いのにスマホを珍しがるとは、苦労の多い人生を送ってきたのだろう。


浜ちゃん「あんた、中国人?」

私「日本人だよ」

浜ちゃん「うおー!!すげぇ、日本人初めて見たで!」

私「何歳?」

浜ちゃん「23、松ちゃんは26」

まさかの20代。そんなに若い人がいるなんて。

浜ちゃん「800バーツでどや?サービスするで」

私「高いね……」

浜ちゃん「なら600!いいやろ?」

謎の白人「600バーツ…こんなにお得な話、ないと思うよ。いってきなよ」

私「!!??」

突如、通りすがりの白人のおっさんが話に入ってきて、私の肩を叩いてきた。
おっさんはそのまま立ち去っていった。

浜ちゃん「ほら、いくで兄ちゃん」

私「いや…もうちょいこの辺りを散歩したいから」


浜ちゃんはとても性格が明るくて良い子だ。もし見た目が浜ちゃんでなければ、思わず買っていたかもしれない。


その後も娼婦たちを冷やかしているうちに、一つの想いがわいてきた。


「誰かを買ってみようかな」


クリスマスの夜に出会った韓国人のねーちゃんには、健全なマッサージを受けるという名目で金を払った。
今度は、身体目当てで金を払おう。高くても3000円くらいだ、失敗しても怖くない。怖いのは病気だけ。


肝試しだったのが、買春目当てになってしまった。

私は、値段が安くて美人で安全そうな娼婦を探し始めた。

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