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スクンビットという地
最後の宿を目指し、スクンビット駅に降り立った。
バンコク最大の日本人街、スクンビットエリア。
日本人向けのレストランやショップがたくさんあり、物価も日本並のリトル・ジャパン。
夜のマックスバリュを訪れれば半額シールがついたパック寿司が買えたりと、日本と同じような生活を送ることができる。
会社の陰謀によって好きでもないタイに飛ばされた社畜にとっては住みやすい街だが、旅行者からすればどうだろうか。
政府によってスクンビット名物の屋台たちは一掃され、景観はよくなったが、街歩きはつまらないものになってしまった。スクンビットの宿を目指して歩いてる最中とても退屈で、ここに宿をとったのは失敗だと思った。
しかし……つまらない場所にも関わらず、日本人の男性旅行者が多く集まる一帯があった。
こんな屋台もない、日本語表記の看板だらけの異国情緒に欠ける場所に何故日本人男性が集まるのか。
それは、ソイ・カウボーイがあるからだ。
タイ人男性禁制の色街、ソイ・カウボーイ。
ピンクのネオン輝く男の楽園。
色街巡りはタイ旅行の裏定番。ゴーゴーバーにてお立ち台で踊るセクシーなねーちゃんを眺めながらお酒を飲むのが紳士の夜の過ごし方。
気に入ったねーちゃんがいれば自分の側に座らせ、一緒にお酒を嗜む。
おさわり禁止なんてケチなことは言われない、目一杯ねーちゃんの身体を堪能できる。
恥じらうウブな男性には、逆にねーちゃんの方からおさわりが……。
そうして仲良くなれば、ねーちゃんをホテルへ連れ込んで、イイコトができる。
タイを訪れる日本人男性にはコレが目当ての者は少なくない。というかここに来ない男は何しに来たのって感じ。
ビキニ姿のねーちゃん達が道行くジャップやファラン(白人)に甘い声をかけ、腕を掴んで強引に店へ誘おうとする。
エロが男を逃さない場所、それがソイ・カウボーイなのだ。似たような場所ではナナプラザが有名。
ヤワラートについての記事でも『軍事独裁政権によって浄化~』とか書いたが、ここだけは別だ。あくまでねーちゃんとお酒が飲める場所であり、お持ち帰りはねーちゃんと客による自由恋愛という体なのでまったく後ろめたいことはない。よって政府がつけいる隙はない。と思う。それにゴーゴーバーに規制が入ればとたんにインバウンドは大きく減退してしまうだろうから、政府は黙認するしかないのだ。
駅からソイ・カウボーイを抜けると、今度はエロマッサージ屋たちが軒を連ねている。
表向きは普通のマッサージ屋…ていうか、雰囲気でそういう店だと丸わかり。サッとスッキリしたい人はゴーゴーバーではなくエロマッサージ屋を利用する。
私は、マッサージ屋群を超えた先にあるゲストハウスに最終日まで沈没するプランだった。
駅近という話だったが、道が入り組んでいて駅から徒歩15分はかかる。直線距離は近いが。
宿の目の前には小学校とセブンイレブンがある。至近にコンビニがあるのは非常に便利だが、色街のすぐ近場に小学校があるのがなんともいえない気持ち。
宿では、体重200キロ級の超巨大なオーナーが迎えてくれた。
口コミではあまり愛想が良くないと評判。確かに仏頂面であまり親しみは感じにくい。
だが、一泊1000円ほどでクーラー付きの部屋に泊まれるんだから文句はない。
本棚がプリントされた壁紙がオサレ。
冷房全開にしてベッドに寝転んだ私は、残りの一週間どう過ごそうか練り始めた。
旅の後半戦はまったくのノープラン。ゴーゴーバーなんて興味ないし、一体何をしようか。
とりあえず飯にしようと、宿の向かいにあるセブンイレブンに行って、お弁当とカップ麺、ジュースとアイスを買った。これだけ買っても500円いかない。日本のセブンはぼったくるために全力で上げ底を実施している悪徳企業だが、タイのセブンではそんなことない。
残りの日々は、宿とセブンを往復するだけの自堕落なプランでもいいかもな……
カップ麺をすすりながら、そう思った。
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