『最後の秘境』との別れ
宿のオーナーからいろんなオススメスポットを教えてもらった私だったが、そのほとんどに足を運ぶことはなかった。
その主な理由は日焼けである。
ある朝起きると、背中がやたらとかゆい。
掻くと余計にかゆくなるが、掻かずにはいられない。マーク島とクート島で毎日長時間海水浴を楽しんでいた私だが、なんと一度も日焼け止めを塗っていなかった。
そのせいで常に背中を掻きむしっていないと耐えられないほど日焼けが重症化し、遠くまで出歩けなくなってしまったのだ。
水に浸かっている間はかゆさが軽減されるため、昼間のほとんどはビーチで過ごすはめになった。
クート島の後半戦はこの日焼けのせいでとても辛いものとなった。
かゆみと戦っているうちに最終日の早朝を迎える。
スコールで目を覚まし、朝食を済ませ、最後の海水浴を楽しむ。
スコールのせいでやや海水は濁っていたが仕方ない。最終日には日焼けのかゆみが落ち着いておりひと安心。
宿のオーナーは朝から不在で、誰にも別れを告げることなく無言の旅立ちとなった。
港へ向かうソンテウに揺られながら、これで南の島スローライフとお別れか…と、感傷に浸る。
記事にしなかったが、いろんな旅人や住民と出会い、良い思い出になった。
ネットで偶然クート島の写真を見て、「ここに行けたら死んでもいい」と思ったものだった。
死ぬまでに一度、こんな綺麗な海がある南の島でスローライフを送りたい。
その願いが実現してしまった。
何もかもが良い意味で想像以上で、「死ぬまでに一度」という想いは「これから何度も」に変わった。
世界からコロナの脅威が去ったら、また南の島へ行きたい。
再びマーク島、クート島を訪れるのも良い。
カンボジアのロン島や、ベトナムのフーコック島も興味深い。
マレーシアのランカウイ島や、インドネシアの島々も行きたい。
憧れのクート島へ来れたのだ。世界中の南の島にだってきっと行けるはず。
南の島で過ごした日々は、人生に新たな目標を生み出してくれた。
たったの一週間程度だったが、忘れられない日々となった。
トラートへ帰る船の上で、ふと今日はクリスマスだと気づいた。
人生最高のクリスマスだな、と思ったが、数時間後に人生最悪のクリスマスと化してしまう。
タイ旅行は南の島スローライフがメインのつもりでいたが、本番はこれからだった。
↓記事に載せられなかった写真たち↓
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