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野鳥撮影は難しいが楽しい〜カワセミから学ぶ〜

最近、仕事が忙しく趣味である野鳥撮影ができない日が多い。
そんな中、先日カワセミがいる川へ足を運んだ。
去年まではかなりの確率でカワセミが川に飛び込む様子を撮ることができたが、ここ数回、感が鈍っているのか、フレームにおさめることさえできない。

カワセミが川に飛び込む写真は、ほとんどの場合「置きピン」で撮る。その置きピンの場所が検討違いだったりするのだ。それが撮れない理由のひとつ。
1ヶ月ぐらい前に撮影に行った時は、カワセミが3〜4回水に飛び込んだにも関わらず、全く撮れなかった。かろうじてフレームに入ってはいても、ピンが合っていないという有様だった。

最近のカメラはとても優秀なので、一度ピンが合えば追尾してくれる機能がついている。残念なことに、私のカメラにはそのような機能がついていないので「まぐれ」が起きない限り満足のいく写真が撮れない。
ところがうまく撮れた時は、高性能カメラを持っている人より半端なく嬉しい。

一瞬を切り取る「シャッター速度」

一眼レフを使っている人にとっては当たり前のことだか、シャッタースピードを早くすれば、動く被写体をピタッと止めて撮ることができる。

野鳥の撮影では私は常に1/1000でシャッターを切れるようメモリー登録している。
これはカワセミの動きが早いので、ブレた写真にならないようにしているのだが、たまに失敗をする。それがこの写真。

水面を飛ぶカワセミ
トリミングするとブレている

写真をモニターで確認すると、一瞬綺麗に撮れたように見えるが、トリミングをしてみると、被写体がブレていることがわかる。1/1000でシャッターを切ってもこれだけのブレが生じる。いかにカワセミの動きは俊敏なのかがわかる。

それだったら、もっと早いシャッタースピードにしたらいいと思うが、そう簡単に操作できるものではない。基本、水に飛び込み、出てくる様子を撮るための設定にしている。飛んでいるシーンを狙う時は、他のシーンを諦めて撮影をしている。

シャッター速度を変えることで写真が変わる

カワセミは比較的同じような場所で捕食することが多い鳥だ。だから、カワセミが行動する場所を探せれば、かなりの確率で次も会うことができる。

ところがそんな場所でも、小魚を捕獲した時などは巣に持ち帰ったりするので、しばらく戻ってこないことがある。

こうした時は、ぼーっと待つことになるのだが、水場にはいろんな鳥がやってくる。私はそんな時も他の鳥を観察をしながら写真を撮っている。

アオサギ
コサギ

アオサギの写真は、かなり絞り、シャッター速度をあげて撮った。そうすることで周りの景色と被写体とのコントラストが強くなりアオサギを象徴的に撮ることができる。

小魚を追いながら跳ね回るコサギ。一瞬だけ羽根を広げるところを狙った。
綺麗に生え揃う羽根を撮ることができた。
こうして他の鳥たちに目を向けカワセミを待つのも楽しい。

イソシギ

上の写真はF5.6、1/1000で撮影したイソシギ。(冒頭にも書いたが、野鳥を撮る時はこの設定)
これはこれで雰囲気が出ているが、スローシャッターで撮ると少しだけアーティスティックな描写になる。

NDフィルターをつけてシャッタースピードを1/30にした。当然イソシギも顔や体を動かしてしまうので、連写で何枚も撮る。そして被写体がブレていないカットを選んだのが上の写真。
こうしてちょっとした技術を知っていれば、新しい表現ができるのも写真撮影の楽しいところだ。

オートフォーカスではピンが来ない

この日のカワセミは捕獲した小魚を、これでもか!というほど石に叩きつけていた。
普段は5〜6回叩きつけ小魚が気絶したらその場で丸呑みするか、巣に持ち帰るかなのだが、この時は20回以上叩きつけていた。
こんな執拗に気絶させる様子は初めて見た。

石に叩きつけて気絶させる
小魚といってもかなり大きい

こうした写真は被写体が同じ場所にいるので、ジャスピンで撮ることができる。だけどこれで撮影は終わりではない。次の行動を狙いたいのでカワセミから目を離せない。

飛び上がるカワセミ

気絶させた小魚を食べるかと思っていたが、突然飛び上がった。
同じ場所で垂直に飛び上がったので、ピントがきたまま飛ぶ様子を撮ることができた。

ちなみに、下の写真は別の日に撮った写真。石の上に止まっていたカワセミが平行に飛んでくれたのでピントがあった1枚となった。

約1ヶ月前に撮影したカワセミ

こうして普段オートフォーカス(AF)に頼って撮影をしているのだが、AFだけは撮れないシーンがある。それがホバリング。
カワセミはたまにホバリングし真俯瞰の位置で魚を探し、一気に急降下し捕獲する時がある。
ホバリングする時間は、3〜5秒。ファインダーをのぞきシャッターを切っていると、まるで時間が止まったような錯覚に陥る。
こんなシーンに出くわしたら焦ってはいけない。

ホバリングをするカワセミ

初めてホバリングに出会った時、いくらAFでピントを合わせようとしても全く合わなかった。というのも、カワセミの体長は17センチほど。被写体との距離もあるので一点フォーカスにしていてもそう簡単にピントは合わない。

以前、ホバリングを撮るコツを野鳥写真家のN氏に教えてもらった。それはマニュアルでピントを合わせること。私はそれを忠実に守って実践している。

しかし、カワセミは突然ホバリングをするのでそうそう練習もできないし、さらにいつもAFしか使っていない人にとっては難度が高い撮影法だ。
私は撮影前に「ホバリングをしたらマニュアルで…」と唱え、心構えをしている。すると不思議なことに自然と手は動く。

鳥は同じ行動をとる習性がある。この日、写真を撮った前と後、合計3回ホバリングをし、小魚の捕獲に2回成功していた。撮影するチャンスは2回あったが、2回目はピンを合わせるのが遅くピンボケになってしまった(笑)

「照準器」があれば難度は下がる

飛ぶ鳥などを撮る時は、カメラ本体のホットシューなどに取り付ける「照準器」を取り付けると超望遠レンズを使っていても被写体を捉えやすい。

水に飛び込む様子を撮るだけであれば照準器などなくても、飛び込むと思われる場所に置きピンをしておけばいいのだが、なかなかうまくいかないのも現実。
照準器のファインダーは広い画角なので、多少飛び込む位置が違っても、飛び込むまでの時間が長ければ、カメラの置きピンの位置を修正できるのだ。ちなみに私は一点フォーカスで置きピンをしている。

この日は感が冴えていたのか、水浴びをするカワセミを撮ることができた。光や水飛沫もまぁまぁいい感じだ。

水浴びをするカワセミ

そして、ラッキーなことに垂直に飛んでくれたので、この後の写真もピントがきた。

この写真のシャッタースピードは1/1000。被写体もブレることなく撮ることができた。すでにわかった方もいると思うが、カワセミが水から飛び出る時は、飛んでいる時や水に飛び込む時よりも少し速度が遅いのだ。だから被写体がブレない。

野鳥撮影は「カワセミ」で始まり「カワセミ」で終わると言われている。
もし身の回りにカワセミがいたら一度撮影してみるといいと思う。
野鳥撮影が一段と楽しくなるはずだ。

⭐︎撮影設定など詳細が知りたい場合はコメントをください。次回の投稿の時にお答えします。

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