話を聞くスキル

見切り発車的にものを始めてしまうのはいつものこと。というわけで、このnoteというサービスも見切り発車で始めている。なので特段この文を読んだところで読者になんかしらのプラスがあることは想定していないが、どうかご承知を。

皆さんは、人と会話をするとき、話す方が多いだろうか、それとも、聞き手に回ることの方が多いだろうか。私は、圧倒的に聞き手となることが多い。そして、私は多くの人から「zeenはひとの話を聞くのがうまい」「zeenに話を聞いてもらうと落ち着く」と、褒めていただく。(数少ない私の長所であると自覚している。)この記事は、そんな私が人の話を聞いていて感じることをまとめていこうと思う。これに書いてあることを意識すれば、あなたのお友達との会話が、さらに楽しくなるかもしれない。知らんけど。

もともと、私はかなりひとの顔色を伺うタイプの人間である。少しでも空気がピリつくと、いやな気分になる。飛び火が自分に来るのではないかと、チクチクした感覚がある。幼い頃に過剰に教師に怒られたからだろうか。とにかくひとのイラつきに敏感になってしまうのだ。その結果、怖くて人の話を遮ることができなくなった。ひとが話し終えるいい感じの絶妙なタイミングで、自分の話題をようやっと捻じ込む。それでも、自分の話題から「そういえば」なんて調子で相手の話にそれてしまったら、やっぱり相手の話が遮れない。その結果自分の話題を忘れる。これで圧倒的に聞き手に回るループの完成である。聞き上手というか、単に自分の話題を振るのが下手なだけである。人の長所も、少し突っ込んで見てみたらこの程度である。逆に清々しいか。

話を聞くのがうまい、と言われる人は基本的に相手の話を遮らないと言われている。私としては当然のことだと思うし、正直私のようなコミュ障は前述のとおり話を遮る勇気などないし、話を遮ってまで自分の話をする価値などないと思っている。(どうしても眠いときなどは強引に遮ってしまうことはあるが。)ところが、意外とひとの話を遮らずに聞けない人は多い。結局自分の話に繋げて、それで自分語りに走る。自分語りなんてされてしまうと、果たしてこいつは本当に自分の話を聞く気があるのか、と疑問になって、それで話すのも億劫になる。いや、億劫になるのはよほどの根暗か。でも、億劫とまではいかなくても、少なからずモヤモヤは残るだろう。それから、意外とひとの直して欲しい部分の上位に「自分語りが多い」というのがある。実際、「Aさんの話が長くてうざい」と言っていたBさんが私の話を遮って自分の体験を語ってしまうお茶目さんだった、という事例も少なくない。悲しいかな、自分語りとは、他人のものはウザくて仕方がないのに、自分のものとなったら際限がない、止まらない。口に出して言語化することによって、脳科学的になんか効果でもあるのだろうか。私は心理学者じゃないのでよくわからないですが。

となると、私の経験上これしか言えない気もするが、聞き上手になる秘訣は相手の話を遮らない、まずここであるように思う。遮らない、というのは、相手の言葉に被せて何かを言うのを辞めましょう、ということではない。むしろ相手の発言にかぶせた方が効果的な相槌すらもある。(ソースは私の観測)とにかく自分語りに繋げない。それだけである。

多くの人が勘違いしていることだが、ひとの話を10割すべて聞くことは不可能だし、そもそも話者はそんな超人的なことは求めていない。ちゃんとある程度聞いてさえくれれば、意外と十分である。もちろん、「ある程度」以下の適当な聞き方であれば人間関係の崩壊は待ったなしであるが。嘘だと思うなら、こんどひとと会うときに相手に自分の発言を一言一句間違わずに覚えることを要求しているか、相手に細かな助詞の違いまで聞いて欲しいと思っているか、意識しながらおしゃべりしてみるといい。そんな神経質な人はいるだろうか?(もしいたなら深く謝罪するとともに火星で生活することを勧める。)結局そんなもん。ところが、ひとの話を聞くとき、聞き上手とは言い難い人たちは、10割聞けていないことに負い目を感じるのか、自分の体験など、いかにも相手の話と関連がありそうな話をすることによって、姑息な「聞いてますアピール」をするわけである。そして、聞いてますアピールをする人々というのは、たいてい聞かれていないことにまで言及しだすものだから、余計に収拾がつかなくなる。「悩みを相談したら、ド正論を返されて逆に傷ついた」なんて、まさにそれである。人の悩みや愚痴は、聞き流すものであるのに、変に聞いてますアピールなんてするから人間関係が拗れるのだ。というか、愚痴はだいたい聞き流してほしくて喋る場合がほとんどだし、ひとの悩みに対して下手な解決策を提示するのは非常に危険であると思う。例えば、自分の親の愚痴を話しているときに「うちの親もさ〜」なんて調子で、自分の話に繋げられてはそれこそ萎えるし、私の経験上、悩んでいる相手はこっちから先走って結論を急ぐよりも、悩んでいる本人に現状の問題点、論点を整理させた方がお互い楽である。長々と書いたが、要約すれば人というのは話すとき、案外適当な返事を求めている、ということである。

なんだか、話を聞くのが下手な人に対する愚痴になっていないか書いていて不安になってくるが、結局話を聞くのが上手いというのは、結局ひとの話をいい感じに聞き流せるか、そこに尽きると思う。ひとの話を聞き流せる人の、意外と少ないこと、少ないこと。人に何か話したくて仕方がない気持ちもわかるが、そこはぐっと我慢して、深呼吸でもしてみよう。そこで、いい感じに相槌を当てれば、いい感じに聞き流せれば、あなたもあっという間に聞き上手になれる。かもれしれない。


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