マガジンのカバー画像

トリスタン文書 〜バスケットボールの定理を求めて〜

5
『バスケットボールの定理』第7部へと通じる「第七の門」をくぐるための合言葉<パスワード>を探す騎士・トリスタンと”彼”のドッペルゲンガー・メフィストとの対話。三部作。
運営しているクリエイター

記事一覧

トリスタン文書 【3-2.5】 ヒーローはどこにいる? 〜ケイトリン・クラークとホークアイ〜

イ・ゾルデの断想 〜Lady Isolde's Reverie〜 ゾルデ(心の声) この人たち、さっきから弓の名手の話をしてるけど、大事な人を忘れてるんじゃない? 羿は紀元前2000年の人物だとか偉そうに語ってるけど、ローマ神話にだってキューピッドっていう弓矢の名手がいるし、古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』にはラーマという名手(ロムスカ・”ムスカ”・パロ・ウル・ラピュタが言う「インドラの矢」の使い手)がいるでしょ? それにロビン・フッドもいいけど、アベンジャーズのホーク

トリスタン文書 【3-2】 誰がドラゴンを殺すのか? 〜ウィスタンとマチルダ〜

誰がドラゴンを殺すのか? 〜ウィスタンとマチルダ〜 メフィスト ひとつ聞くが、お前はなんのためにドラゴンを退治しようとしてるんだ? 誰かに頼まれたのか? トリスタン なんのためって、ドラゴンがいる限り、我々の身に危険が及ぶ可能性があるからですよ。別に誰に頼まれたわけでもありませんが……。 メフィスト 日本生まれの英国人、カズオ・イシグロもドラゴン退治の物語を書いている。アーサー王の死後間もない英国を舞台にしたその小説にはこんなセリフがある。 「この国は健忘の霧に呪わ

トリスタン文書 【3-1】 ステフィン・カリーと二人の名手

トリスタン文書 〜バスケットボールの定理を求めて〜第3部 トリスタンXの推理盗まれたカード 苛立たしげに書斎を歩き回るメフィスト(仮名。a.k.a タイラー・”ゴリャートキン”・ダーデン)。 トリスタン(身長不明。姓不明。コーンウォールの騎士。マーク王の甥)、やってきて、真夜中に戸を叩く。 メフィスト トリスタンか? トリスタン いかにも。我が名はトリスタン。バスケットボールの聖杯を探す円卓の騎士の一人です。 メフィスト 今日はまた一段と変わった出で立ちだな。 トリ

トリスタン文書 〜バスケットボールの定理を求めて〜 (2)

第2部 ディエゴ・トリスタンの弁明サッカー界の三つ巴の争い 満月の夜、書斎でシリアルを食べるメフィスト(仮名。a.k.a the Thing of Evil)。 トリスタン(186cm。元スペイン代表FW。円卓の騎士の一人)、やってきて戸を叩く。 メフィスト 俺の食事を邪魔するやつは誰だ? トリスタン 我が名はトリスタン。バスケットボールの謎を解くという聖杯を探す者……って、この間もお会いしたじゃありませんか。 メフィスト 本当にあのトリスタンか? 前よりだいぶ身長が

トリスタン文書 〜バスケットボールの定理を求めて〜 (1)

本書は『メイキング・オブ・バスケットボールの定理』の続編として、また『バスケットボールの定理』第7部へと読者を誘導する地図として書かれたが、それ自体独立した物語であり、ボブ・マーリーの人生の終わりに遺言のように録音され、今なお世界中で歌い継がれている彼のアンセムへのオマージュでもある。 第1部 トリスタン・トンプソンの巡礼賢者の石を持つ名将 書斎で眠るメフィスト(仮名。a.k.a 常に否定してやまぬ霊)。 トリスタン(206cm。C / PF。円卓の騎士の一人)、やってき