私がiOSの4.3リジェクトを回避してアプリをリリースした話
最初にお知らせしますと、4.3リジェクトされましたが、アプリを改良することで無事審査を通過しました!
リジェクトされてから審査が通るまでをnoteします。
4.3リジェクトとは
iOSアプリ開発者にとって、最大の恐怖といえば4.3リジェクトではないだろうか。アプリ申請時に4.3リジェクトされると、リリースできないと諦めるしかない場合がほとんどではないだろうか。
4.3 スパム
同一のAppに対して複数のバンドルIDを作成しないでください。特定の場所、スポーツチーム、大学などに向けた異なるバージョンが存在するAppの場合は、単一のAppを提出し、異なるバージョンはApp内課金で提供する方法を検討してください。また、すでに飽和状態のカテゴリにAppを追加することは避けてください。App Storeには、おなら、げっぷ、懐中電灯、占い、デート、宴会用ゲーム、カーマ・スートラといったAppがすでに多数存在します。こうしたAppは、ユニークで高品質な体験を提供するAppでない限り、却下されます。App Storeでスパム行為をすると、Apple Developer Programから除名される可能性があります。
つまり、リリースしている同じ内容のアプリは、一つのアプリのまとめなさい。すでに多く存在するアプリと同じようなアプリはスパムとしてリジェクトされます。さもなければ、ユニークで高品質な体験を提供するアプリに作り直しなさいということです。
Appleの審査のこと
iOSアプリ開発して、App Store Connectから審査に出すと、1日ぐらいでApp Reviewに返事がきます。ここで審査を通っていればいいのですが、Guideline 4.3を理由にリジェクトされた場合は死刑宣告をされたのも同然かもしれません。
4.3リジェクトは死刑宣告
つまりアプリの内容で4.3リジェクトを通知された場合は、コンセプトから変えて作り直すしかないのです。コンセプトから変えるということは、早い話「違うアプリを作れ」と同じことです。
しかも、私の作ったアプリは占いアプリでした。「占い」はジャンルごと名指しでリジェクト対象なので、もうこれを回避する方法は占いアプリを占い以外のアプリに作り替えるしかない。しかしそれは不可能だ。
ここまで、足掛け2年くらい開発に掛かったのが無駄になるとは(Android版は問題なくリリースできましたが、、、)
Appleの審査を疑う
4.3リジェクトを受けて途方にくれると、検索で回避方法を探しますよね。もちろん、検索すると色々は方法が書かれてありますが、イマイチ決定打に欠けるというか、完全に回避できたというのは、この記事を書いている時はなかったと思います。
よくある方法として、「Appleの審査する人間は素人だから、同じ内容のアプリをバージョンを上げて申請すれば、通すことがある」
みたいな内容がありますが、そもそも一度リジェクトされた履歴が残っているので、そこはチェックされると思った方が良いでしょう。
異議申し立てをする
App Reviewでは、審査をした人とやり取りができます。何回かのリジェクトされた内容を見てみると、大体似たり寄ったりなので、リジェクトする時のフォーマットみたいなものがあるのかもしれません。
作成したアプリ「魅惑のルノルマンカード占い」は、タロットカードに似た「ルノルマンカード」を使ったカード占いアプリです。海外ではいくつかルノルマンカードを使ったアプリがあるものの、日本語では初めてなので、そこをアピールしてApp Reviewで返信してみましたが、返答はほぼ同じ内容で、「占い」は駄目とのことでした。
たまたまやり取りをしている最中に、アプリをリリースしている知人に日本の公正取引委員会から、アンケートが来たという話を聞きました。
検索してみると、
やはり色々なところで問題があって、公正取引委員会が調べているのかもしれません。
公正取引委員会のことも触れて、再度App Reviewに返信してみましたが、返事は同じで「占い」はダメでした。
そもそも、アプリの審査をしている人間に、独占禁止法違反なんて言われてもですねー。
App Reviewを返信する以外にも、正式に異議申し立てをするという方法もありますが、もしこれで却下されると、リリースできないのが確定してしまうようで最終手段に取っておきました。
機能を増やしてユニークで高品質な体験ができるアプリにする。
流石に諦めるに諦められないのですが、どうしても占いアプリは変更できないので、ガイドラインにあった「ユニークで高品質な体験を提供するApp」を目指してみました。
さて、どうすればそんなアプリが作れるのか?色々と考えて1ヶ月くらい経った頃、あるソフトに出会いました。
Voicepeakを使って音声付きの占いアプリに
Voicepeakという、テキストを人の音声の変換してくれるソフトを使ってみたところ、そのあまりに自然な喋りに感動しました。
この音声を占いアプリに導入したら、「ユニークで高品質な体験を提供するApp」になるのではないかと閃いたのです。
占いの診断結果を全て音声にすると、カードの組み合わせもあって全部で2000個ほどの音声ファイルが必要になります。これを人間で収録するとなると、どれくらいのコストと時間がかかることか。
しかしVoicepeakはテキストの読み込みもできるので、数百個の音声ファイルも個別のファイルに一気に出力することができました。
Voicepeakの音声を開発しているUnityに読みこんで、占いアプリに組み込みました。
もう一工夫「占い」から「トーク」へ
音声が入った占いアプリというのは、今までになかったはずで「ユニークで高品質な体験を提供するApp」なはずなのですが、もしそこに気づいてくれなかったらどうしよう?そもそも審査の時は音声は聞いているのか?
色々と不安になってきました。
そこでまず、アプリのタイトルを
「魅惑のルノルマンカード占い」から
「魅惑のルノルマントーク」に変更しました。
これで見た目にもわかりやすい。
しかし、音声は占いの結果と共に出てくるので、そこまでちゃんと審査してくれるかも不安でしたので、アプリの起動時に冒頭に毎日一言、音声を入れることにしました。
これで絶対に音声は聞いてもらえるのではないか!
再審査、そして、、、
無事、審査を通過しました!
マジ嬉しかったです。
あれほど苦労したのに審査の通過はあっさりしたもので、何事もなかったようにリリースできました。
結局のところ、音声を入れたことが良かったのか、単純に名前に「占い」を外したから通ったのかは、Appleは教えてはくれません。
ですが、アプリの内容を工夫をして改良し、審査を通ったことは事実ではあるので、同じように4.3リジェクトを受けた方に、このnoteが検索で引っかかって、打開策の何かのヒントになればと思いここに残しておきます。